NPO法人 1万人井戸端会議で働く御園楓さん
館長のバナナ畑でバナナ収穫
自己紹介
鹿児島県鹿児島市出身。2021年法経社会学科地域社会・経済コースに入学。3、4年時に繁多川公民館の指定管理を受託する特定非営利活動法人 (以下、NPO法人)1万人井戸端会議(沖縄県)にてインターンを行う。2025年3月に大学を卒業後、上記法人に就職。現在は、社会教育の視点で一万人規模の地域と学校でまちづくりを行なっている。
1)大学入学当初の私
大学入学当初、私は大学での学びに対し意欲的ではありませんでした。授業に出席して、出された課題をこなして、単位をもらえれば完璧!と思っていました。講義の中で「へぇーそうなんだ」と思うことはあっても、「もっと深く知りたい」と思うことはほとんどなかったです。
2年次で所属するゼミ選びも、特に考えることなくとりあえず知っている先生のゼミにしようと思い、1年次の「エンドユーザーⅢ」の担当をしていた酒井先生のゼミを選びました。当時の私は、「大学で出た課題をこなし、バイトをして、友達と遊んでという日常が大学生活の醍醐味で、そのような生活が4年間続くんだなぁ」と思っていました。大学生活を漠然と過ごしていることに対して、特に疑問を感じることもありませんでした。
しかし、2年次以降、ゼミ活動や社会教育の授業を受けるようになったあたりから少しずつ意識が変わってきました。
コロナ禍の影響で、1年次はほとんどオンラインの授業でした。前の週は対面で授業だったのに、コロナの感染者数が増加すると、またオンライン。対面でグループワークをしたのは、両手で数えるほどでした。2年次以降、対面の授業が増え、講義やゼミ活動で同級生や先輩とグループワークをする機会が増えました。自分が考えもしなかった意見やその人が経験したからこそ出てくる考えを聴くのがとても刺激的で楽しかったです。
さらに驚いたのは、社会教育。特に公民館についてです。当初は「社会教育って何?」「自分とどう関係しているの?」と疑問しかありませんでした。ましてや、「公民館?」「高齢者の何か活動する場所でしょ」「若者には関係なさそう」としか思っていませんでした。ただ、社会教育の授業を通して、「社会教育は自分の生活のそばにある!」「特に公民館は使い方次第で高齢者から子どもたちがワクワクできる場所なんだ!」「もっとこの魅力を広げていかなくてどうする!」と思うようになっていきました。
(社会教育?公民館?と思った方は、地域社会コースの農中先生に聞いてみてください。穏やかな顔でとても優しく教えてくれると思います🧔🏻)
2)大学生活で主に取り組んだこと
大学時代に取り組んだことは主に3つあります。
1つ目は演習(ゼミ)での活動です。ゼミでは大崎町を中心にさまざまな事業に取り組んできました。例えば大崎町では、地域住民と外国人住民が交流するための展示企画「茶いっぺくいやい」を2022年9月に先輩たちと取り組みました。また同年12月には、大崎中学校のコミュニティ・スクールにおいてキャリア支援講座等実施しました。
2024年1月には、鹿児島県民交流センターにおいて「学生とともに考える鹿児島のしあさって」をゼミの同期と一緒に企画・実施しました。この企画は鹿児島県教育庁かごしま県民大学中央センターと初となる共同企画です。鹿児島に住んでいる高校生や大学生が自分たちには今何ができるのかを考える企画をしました。
また、ゼミ生有志で「unlearn no.3学びほぐす地域と教育特集鹿児島の公民館のいまと可能性」も発刊しました。
2つ目は、2023年度地域社会・経済コース合同ゼミ代表者会議の4役を務めたことです。2023年に開催された新入生オリエンテーションやゼミ対抗 バレー・ソフトボール大会等の企画等を実施しました。こうした多様な事業を通じて、地域社会・経済コースの学生間の交流を図ってきました。
3つ目は、これまでの学びを踏まえて、沖縄県那覇市にある繁多川公民館で行ったインターンです。社会教育施設としての条例公民館にかかる興味・関心から、国内で注目を集める繁多川公民館において2023年に2回、2024年に1か月のあいだ継続的してインターンを実施しました。インターンでは、公民館業務や子どもの居場所事業のサポート、学童の職員として活動しました。
3)大学生活を振り返って思うこと
大学生活で学んだことは、自分の感覚を大事にすることです。それぞれの興味関心は違うので、周りとちょっとズレているのかもしれないと思うことでも、その感覚を大事にして欲しいです。自身の経験として、周りの人が企業説明会やインターンなど就職活動をしている時、私は「したい」と思うことをしていました。それが繋がって、沖縄の今働いている場所へインターンに行きました。周りの人がしている就活をしない選択をして、いろんな業種を見ておけば良かったかもという心残りはありますが、その選択がなければ今に繋がる大学生活はなかったのかなとも思います。
私がこのように行動できたのも、想いを聞いてくれて、後押ししてくれるゼミの先生や同級生がいたからだったと思います。このような人に支えてもらってばかりで、私は誰かの想いを聴くことができていたのだろうかと大学生活を振り返るばかりです。
4)現在の仕事
小学校の授業で地域案内
4月にNPO法人1万人井戸端会議に就職してからさまざな業務に携わっています。現在の主な業務は4つです。まず1つ目は、小学校や中学校の授業「総合学習の時間」にかかる学校コーディネート事業です。例えば、小学3年生は地域のあるもの探し(地域散策)や歴史探究に取り組んでおり、繁多川の特産品であった豆腐の歴史や栽培過程を学ぶため、大豆の種まきや豆腐作り等を行います。そうした取り組みについて先生や地域の皆さんと連携しながら授業内容をつくったり、実践の支援に取り組んでいます。2つ目は、中高生のボランティア「おたすけ隊」のコーディネーションです。地域のボランティアニーズと中高生のシーズを結びつける仕事になります。3つ目は、公民館サークルの事務局です。繁多川公民館には40程度のサークルがあり、そうしたサークルの立ち上げや運営支援に取りんでいます。
これまでのお仕事で特に印象深かったのは6月に実施した公民館ロビー活用事業です。今年は戦後80周年だったので、市井の歴史家(故)知念堅亀さんのフィールドワークにみる展示「平和への想い」を実施し、その展示物の制作に少しですがたずさわりました。そのなかで、亡くなった人の背景を知るのはもちろん、そうした人の思いを継承し活動している人がいることや、その資料が現存していることにも大変感銘を受けました。
また、大きなことでなくても、公民館の利用者に名前を覚えてもらったり、公民館を利用する子どもたちと一緒にコマで遊んだり手芸をすることも楽しい日常の一コマです。
将来は、地元鹿児島で今の仕事の経験を活かすことができればと考えています。
5)プライベートで取り組んでいること
地域のお祭り
6月から那覇市が主催する市民講座「なは市民協働大学院」にも参加しています。他の受講生と共に地域課題の発見やその解決に向けた実践について学んでいます。実際に地域散策をしたり、校区内の小学校・中学校の関係者にヒアリングをしたり、地域で今取り組まれている活動に参加したりして、地域課題を見つけている最中です。自分が住んでいる地域でも知らないことばかりで、日々勉強中です。
地域の料理上手な方のお宅でパン屋さんと一緒にサーターアンダギーづくりを勉強中
6)在学生へのメッセージ
偉そうなことをつらつらと書きましたが、正直紆余曲折もあり、日々悩むことがたくさんありました。そんな時が来たら、周りの大人や先輩、友人をつかまえて話をしてください!きっと皆さんの話を聴いてくれるはずです。大学生活楽しんでください。