鹿児島大学国際交流館チューターとして働く吉國未夢生さん

在校生
2022.8.22

【自己紹介】

鹿児島市出身。2020年法文学部法経社会学科に入学。
2年次から地域社会コース酒井ゼミに所属。3年次4月から、鹿児島大学国際交流館に住みチューターとして働く。

Q1:鹿児島大学国際交流館でチューターとして働き始めた理由を教えてください。

働き始めた1番の理由としては、会館のチューターの応募を発見したときに「ワクワク!」したからです。「これやってみたい!絶対楽しい!」という、ほとんど衝動的な感情が、応募の決め手だったように思います。
特に、私たちの年代はコロナウイルスの蔓延により、大学入学当初から制限のかかった生活を強いられてきました。もともと国際交流や留学には興味があったのですが、「何かしたいけど何もできない」というむず痒い状況が続いていました。
「大学生のうちにしか経験出来ないこと、全力で頑張れることはないだろうか…。」
そんな考えがぐるぐると頭を駆け巡っていた時に見つけたのが、会館のチューターの応募でした。
私が所属している酒井ゼミには留学生が所属しており、学生の中にはチューターの経験者も何人かいました。国際交流やチューター活動に積極的な学生が周りに多くいましたし、なによりそれらの活動に理解のある環境に置かれていたことが、挑戦してみようと思えた大きな要因だったと感じています。
また、「やさしい日本語」について学んだ経験も大きかったです。「やさしい日本語」とは簡易的な表現を用いることで、外国人や子供向けに分かりやすくした日本語表現のことです。
例えば、「立入禁止」を「はいらないでください」と言い換えたり、長い文章を区切って短くしてみたり、ゆっくり話すことを意識するだけでも、留学生にとってはより伝わりやすい日本語になります。
ゼミにおいて、外国人技能実習生と交流するワークショップを企画したことがあったのですが、その際に「やさしい日本語」を初めて学んで、こんな表現方法があるんだ!と感心した思い出があります(ワークショップは2022年8月12日現在コロナウイルスにより開催延期)。

国際交流会館のチューターは留学生と同じ寮に住み込み、生活に根付いた様々なサポートを行う必要があります。「やさしい日本語」の知識を、チューター業務に活かすことが出来るのではないか?ということは、応募した際に考えていたことではありました。

Q2:鹿児島大学国際交流館のチューターのお仕事を教えてください。

会館チューターの主な仕事は大きく、二つあります。
一つ目は入退去時のサポートです。入退去業務は、主に留学生の出入りが多くなる春と秋口に行われます。
入居時にはお部屋まで案内したり、シャワー室やキッチンなどの共同スペースの使い方や会館のルールを説明したりします。留学生が日本での生活を気持ちよくスタートできるように日用品の買い物に付き添ったり、周辺施設の案内を行ったりもします。
日本語が上手な留学生が多いですが、なかには日本語が苦手な留学生もいます。私は外国語が堪能なわけでは全くないので、やさしい日本語を意識したり、ボディーランゲージを使ったりと、試行錯誤しながらコミュニケーションを図っています。
また、留学生はきっと様々な不安と期待を抱えながら来日していると思っています。私の対応が日本人の最初の印象になりかねないですし、暇や孤独を感じたときにはすぐに頼ってほしいという旨を伝えるようにしていました。入居後も積極的に話しかけにいったり、留学生同士の架け橋になったりと、とにかくアットホームで相談しやすい環境や雰囲気づくりを心掛けています。
二つ目の取り組みは、日常生活の支援・指導です。
私は個人の相談に乗ったり、日本語の資料の翻訳をしたり、授業の発表準備のお手伝いをしたこともありました。
また、騒音やごみ分別、共同スペースの使い方について注意をしたり、張り紙やポスターを作成したりするのもチューターの役割です。特に、ゴミ分別については日本ならではの細かいルールに戸惑う声も多く、留学生全体にSNSを用いて周知をしたこともありました。
そして、現在進行中の大きな取り組みとしては、会館に住む留学生用のホームページの作成です。2022年の秋公開を目指し、チューターで役割分担をして作成に取り組んでいるところです。ホームページでは、会館のルールや禁止事項、洗濯機やIHなどの備品の使い方が日本語と英語で簡単に確認できるようになっており、動画や写真もふんだんに取り入れることで見やすいホームページを作ろうと試行錯誤中です。特に日本語が苦手な留学生は洗濯機やリモコンなどの漢字表記が理解できず、戸惑うことが多いようです。今までは備品の使い方やルールをすぐに確認できる媒体が無かったため、完成すればとても便利になるのではと思っています。使いやすいホームページ完成を目指して、頑張ります!

Q3:最後に一言お願いします。

会館チューターの業務は多岐にわたるため、ここまでの文章を読んで「大変そう…忙しそう…」という印象を持たれた方も多いと思います(笑)。しかし、会館のチューターとして働き始めてまだ4か月ほどですが、私は大変なこと以上に得られたことのほうが断然大きいと感じています。
まず、様々な国籍の方と関わる機会を持たせていただきましたし、普通の生活をしていれば触れることの無い宗教や文化の違いを経験することが出来ました。イスラム教を信仰する女の子とハラール食品を買い出しに出かけたり、本場の料理をふるまってもらったり…。逆に、鹿児島の魅力を知ってもらいたいと観光地やお祭りに一緒に出掛けたりもしました。
「価値観が変わった」というと大げさかもしれませんが、様々な国籍の方と生活し、意見を交わすことで沢山の刺激をもらい、自分の中の考えの引き出しが増え、多様な考え方に対して寛容になった気がしています。
また、英語を使う機会が増えたため、自分の語学力の向上にも役立っています。まだまだ勉強中ですが、今後も自分のおかれた環境を最大限に活用していきたいと思います。
会館は、いわば「社会の縮図」のようなものです。全く違う国籍、人種、文化、意見を持つ人が同じ屋根の下で生活することは、簡単なことではありません。しかし、お互いが思いやりの気持ちを持ち、意見をよく聞き合うことで楽しく快適な生活を送ることが出来るのかなと思っています。今後も留学生の声に寄り添い、頼れるチューターを目指して頑張っていきます!

日本にいながら、こんなに多種多様な国籍の方と関わる機会はそうありません。むしろ、自分が海外に留学するよりも貴重な経験が出来ているのかも?と感じています。少しでも国際交流に興味がある方や、何か頑張れることを探している方は、是非チューターも選択肢に入れてみてください。絶対に、素敵な経験が待っています!