NPOで外国人支援に取り組む齊藤優花さん

在校生
2022.1.24

自己紹介

鹿児島出身。平成30年度に法文学部人文学科多元地域文化コースに入学。1~2年時にはP-SEGの海外研修制度を利用してイランやベトナムを訪問し異文化を体験。3年時から多文化交流や日本語教育を専門とする中島ゼミに所属。2022年1月現在は、NPO法人若者・留学生サポートステーション響に所属し、日本全国に住むベトナム人の母親を対象にZoomで日本語を教えている。卒業論文では「外国人労働者の働く職場における日本語コミュニケーション」をテーマに執筆を行った。まちづくりや多文化共生に関するワークショップやセミナーに積極的に参加しており、卒業後は、鹿児島県庁に入庁予定。


Q.P-SEGの海外研修に参加したきっかけは何ですか?

A.1年生のとき、共通教育で森田豊子先生(グローバルセンター)の「グローバル社会を生きる」という授業を受講して、海外に興味を持ったのがきっかけです。はじめは、イランの美しいモスクの装飾にあこがれて、「あの美しさを生で見てみたい!」という思いで参加したのですが、結果的にイスラム教に対する理解が深まったり、異文化に触れる楽しさに目覚めたりして、その後の留学生との交流や、NPO法人響でボランティアをすることにもつながりました。

Q.留学生との交流や、NPO法人響でのボランティアの経験はどう生きていますか?

A.留学生との交流はシンプルにとても楽しかったです!一緒にご飯を食べたり、カフェに行ったり。彼らが帰国してから新型コロナが流行してお互いに会いに行けなくなりましたが、今でもLINEやZoomでやりとりをしています。
一方で、大学で管弦楽団に所属しているのですが、入ってすぐにやめてしまう留学生が多かったり、団費のことや集合時間・場所などの意思の疎通がうまくいかない現状も見てきました。言語や文化の壁で相互理解できないというのはサークル内の話だけでなく、日本社会全体で言えることだと思うので、このような壁を少しずつ解消していきたいという想いが芽生えました。
NPO法人響でベトナム人の母親に日本語を教える中でも、「出産のために入院するが、日本語ができなくても大丈夫なのか」「保育園に子どもを入れるための手続きがたいへん」「子どもがベトナム語を話せなくなることへの不安がある」など、私もすぐに答えられない課題に直面して、このような不安がない社会をつくりたいという想いが強くなりました。

Q.まちづくりにも興味があるのですね?

A.酒井佑輔先生(法文学部地域社会コース)の「地域づくりとNPO」という授業を受講して、地域づくり・まちづくりに興味を持つようになりました。鹿児島のために頑張っている面白い人たちの存在を知ると同時に、その活動を持続させる難しさについても知り、「鹿児島で頑張っている人や面白い人たちがもっと活躍できるような環境をつくりたい」と思いました。これは、就職先に鹿児島県庁を選んだ理由でもあります。就活が終わってからは、地域で面白いことをしている人たちに積極的に会いに行って、大きな刺激を受けています。

Q.将来やりたいことはありますか?

A.「鹿児島で頑張っている人や面白い人たちがもっと活躍できるような環境をつくりたい」が私の目標なので、そのために「地域の人の声をきける」公務員になりたいと思っています。以前は、頑張っている人同士がつながれるような場所をつくったり、頑張っている人がちゃんと評価される制度をつくったりしたいと思っていましたが、いろんな方のお話を聞いていると「それだけじゃだめだな」と気づいて(笑)。最近は、地域がいきいきとするのに一番大切なことは「やりたいことに挑戦できる人を増やす」ことだなと思っています。自己満足で終わらないために、地域の人の声をきいて、自分がやれることとやりたいことは何かを考えていきたいと思っています。

Q.さいごにメッセージをお願いします。

A.法文学部はいい意味で「余白のある」学部だと感じています。私自身、時間割を工夫して学芸員資格と高校国語の教員免許のための授業を受けたり、菅野康太先生(心理学コース)の「神経科学」の授業を受けて、科学を社会に伝えるための「サイエンスコミュニケーション」という分野に興味を持ち、医学部の「生命倫理」を受講したこともあります。私の行動の幅が広がったきっかけを考えてみると、共通教育や地域社会コース、心理学コースの授業だったりと、実は専攻以外の授業だった、ということが多いです(笑)。小さな興味があとから活きてくることもあるので、後輩のみなさんには、時間の余白をぜひ、自分のために大いに活用してほしいなと思います。