鹿児島県庁で活躍する浦本ゆかりさん

卒業生
2023.10.17

自己紹介

2017年に法文学部法経社会学科に入学。
在学中は地域社会コース酒井ゼミに所属し、フィールドワークや文献購読により、多文化共生の地域づくりやファシリテーションの技法について学ぶ。
また、学外でもフィリピンでのボランティアや、ブラジル研修、留学生のチューター、騎射場のきさき市の実行委員等を経験する。
2021年に卒業後、鹿児島県庁に入庁。

大学での学び

学内での学びとして印象に残っていることは、多文化共生の地域づくりに係る学びの一環として、大崎町で働く技能実習生や技能実習生が暮らす地域の住民に直接インタビュー調査を行ったことです。結果、技能実習生の実態として、必ずしも獲得したい技能に関する仕事に就けるというわけではない事や、日本語が話せないことによる日常生活や仕事上の困難を抱えていることを知り、それに対して行政や企業がどのようなサポートを行なっているか等について学びました。

また、2年生の夏休みには、ブラジル研修に参加しました。研修の前半はサンパウロを訪れ、ブラジルの移民の歴史について学んだり、奴隷制度時代にコーヒー豆の栽培や製造を行っていた方々について学んだりしました。研修の後半はマナウスに移動し、アマゾナス連邦大学の日本語学科の学生の家にホームステイを行ったり、日本の離島についてのプレゼンテーションを行ったりしました。私にとって初めての海外ホームステイだったため不安もありましたが、ホームステイ先の家族の方々に温かく迎えていただいたおかげて、ホテル宿泊では知ることができないブラジルの文化に沢山触れることができました。また、ブラジルという地球の反対側の国まで行ったという経験から、海外へ行くことのハードルが下がり、帰国から半年後、フィリピンの貧困地域でのボランティアへ参加することを決めました。

そのボランティアはフィリピンのNPO団体が主催する、ストリートチルドレンに関するボランティアでした。約2週間のボランティアの中で、貧困地域の家庭にホームステイをしながら、スカベンジャー(ごみ山から有価物を拾い集めて生計をたてる人)の仕事の様子を見に行ったり、貧困や虐待、両親が亡くなった等の理由でストリートチルドレンとなった子ども達が暮らす孤児院を訪問したりしました。その中でも特に印象に残ったのは、青空教室に参加し、貧困解決に向けた仕組みを学んだことでした。その青空教室は、貧困等を理由に学校に通えない子どもや、小学校を留年した子どもの学習の機会を設けるために行われていました。そこで先生役を務めていたのが、ストリートエデュケーターと呼ばれる地元の高校生達でした。ストリートエデュケーターの中には、元ストリートチルドレンの方もいました。ストリートチルドレンの多くは、虐待や両親に捨てられた経験等から、自己肯定感が低いまま大人になることが多いと言われています。しかし、青空教室で先生役を務めることで、自分に自信がつくきっかけになると同時に、NPO団体から得られる報酬を進学費用に充てるなど、自立の手助けにもなっていました。

この経験から、国際協力を行うには専門的な技能を持たないと役に立てないのではないかという考えから、「自分で生きていくための仕組みを提供する」という支援の方法もあるのだと知り、国際協力に対する新しい視点を得ることができました。

現在の仕事

入庁当初は、リサイクルの推進に関する部署に配属されました。そこでは、リサイクル関係の法律に基づく許認可に関する事務や、ごみ減量化に向けたキャンペーンや協議会の運営を担当しました。卒業論文で、大崎町のリサイクル率が12年連続日本一を達成した要因について、行政・住民・衛生自治会という3つの視点からの研究を行っていたこともあり、在学中の学びを業務に活かせる場面もありました。
現在は入庁3年目となり、国民健康保険に関する業務を担当しています。
入庁当初は、法律の勉強や制度を理解することにとても苦労しましたが、それによって世の中の仕組みを理解し、より良く変えていくことができるのが、行政職の魅力だと思います!

現役大学生へ一言

大学入学当初は、国際協力に関わる仕事がしたいと考えていました。そのため、興味のあることは全部やろう!という思いから、フィリピンでのボランティアやブラジル研修、留学生のチューター等に取り組みました。
結果、有意義な経験もできましたが、むしろ、自分には向いていないかもしれないと落ち込むことや、好きで始めたはずなのに辛いと感じる経験の方が多くありました。
しかし、学生のうちに、自分がやりたいことと出来ることの差を知れたのは、とても良い経験だったなと思います。

その他にも、騎射場のきさき市の実行委員を務めましたが、元々興味のある分野ではなかったものの、地域を盛り上げるために全力で頑張る大人が沢山いることを知ったことで、海外にばかり目を向けていた自分を見つめ直すきっかけとなりました。
大学の4年間はとても長いように思いますが、色々なことに取り組もうと思うと、以外と短いです。
そのため、何か経験を積めるチヤンスがあれば、どんどん挑戦して欲しいなと思います!!!