ポスター「unlearn no.3 学びほぐす地域と教育」作成

教員:
2024.4.5

酒井研究室は、ポスター「unlearn 学びほぐす地域と教育」の第3号を発刊しました。
本号では鹿児島の公民館に焦点をあて、公民館の有する可能性やその実態について調査しまとめました。貴重な時間を割いてインタビュー調査や資料提供にご協力くださった皆様にはこの場をかりて心よりお礼申し上げます。
以下のURLよりポスターの無料配布を行なっていますので必要な方はぜひダウンロードしてご覧ください。

イラスト・デザインは、本学卒業生の和田佳津沙さんに担当してもらいました。
ポスター作成にあたっては、令和5年度法文学系における教育研究特別経費助成事業より助成を受けています。

インタビュー内容(一部抜粋)は以下の通りです。

鹿児島市松元公民館 館長 有村真由美さんインタビュー

学生:公民館はどんなところだと思いますか?

自分の学びを深めるのはもちろん、人と人がつながる場所だと思っています。何もすることがない時に、「公民館に遊びにいってみようかな。」と思ってもらえるような、誰かにとって「くつろげる場所」「ほっとできる場所」「笑顔になれる場所」そんな場所でありたいと思います。
公民館は「高齢者が利用する所」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。乳幼児からお年寄りまで誰でも気軽に利用できる場所です。例えば、お子さんを連れたお母さんがおはなし会に参加して他の参加者とつながることで、笑顔が増える。お母さんの笑顔はお子さんにとっても嬉しいことです。
また、多くの大人が学び、楽しむ姿を見て、子どもたちに「大人ってなんだか楽しそうだぞ」とか「大人になるって悪くないな」と思ってほしい。「大人の笑顔が子どもの笑顔につながる」と思っています。公民館は、貸館や講座のみならず、あらゆる側面から支援しながら、地域を元気にする人を育てる場所でもあると思います。

学生:松元公民館で実践していることや気を付けていることはありますか?

公民館に来て間もないころ、利用者の方から「職員の挨拶が悪い」とご指摘を受けました。そのことを職員みんなに周知してとにかく笑顔で明るく挨拶することを徹底しました。私は人が好きなこともあって、事務室から出て他愛のない雑談をするようにしています。職員が笑顔で挨拶することで利用者の公民館の利用のしやすさは格段に違うと思います。「事務室に声がかけやすくなった」と何人もの方に言われたことはとても嬉しかったです。嫌なことを言うのは勇気がいることだと思いますのでご指摘くださった方にはとても感謝しています。
また常に利用者目線を忘れないようにしています。初めて公民館に来た時、私の大好きな図書室がどこにあるか分からない、もしかしたら公民館に図書室があることさえ知らない人が多いのではと思い、まず、玄関入ってすぐのところに「図書室は2階です」という看板を作りました。看板と言っても、百均で買ってきた発砲スチロールで作った手作り感満載のものです。
それから、玄関や学習室、図書室前の廊下などに本を紹介するコーナーも作りました。図書室に行くきっかけを作りたかったのはもちろん、少しでも学習室で受験勉強や資格取得を目指している人たちの息抜きや参考になればと思って。展示してある本が動いていると「やった」と嬉しくなります。
今(インタビュー実施時)は奄美の日本復帰70年にちなんで奄美に関する本の展示や新聞記事を掲載掲示しているんですが、それを長い時間じっと見ておられた方がいらっしゃったの。声をかけたら、「実は私も島出身なんだけど、私の知らないことがたくさん書いてあるね」って。そこから、私も「喜界島や奄美で仕事したんですよ」という話につながっていきました。
何が人とつながるきっかけになるか分かりません。とにかくいろいろな方が利用する公民館ですから、職員が固定概念にとらわれることなく「どうすれば喜んでいただけるかな」「今何が求められているかな」という視点を忘れないように気をつけています。

学生:実践をするうえで課題に感じていることはありますか?

私は、「できない理由を並べるよりも、できる方法を考える」ことを大事にしています。予算がないからできないではなく、ではどうすればできるか・・・それをみんなで語ることはとても楽しいです。あきらめたらそこで終わりですから。みんなと妄想を語ることがとても楽しいです。そのうち一つでも実現できればラッキーと思っています。課題はたくさんありますが、できることを楽しくがんばっています。
来年度は利用者から要望のあった夜の講座も開設することになりました。お仕事帰りの方や昼間に来られない方にも来ていただけたら嬉しいです。そのためには、市民のひろばや公民館だよりだけでなく、広報の在り方をもう少し工夫することが必要だと感じています。

学生: 講座といえば、松元公民館から発行している「いぶきまつもと」を拝見すると、自主学習グループが活発な印象を持ちました。みなさんの様子はどんな感じですか?そもそも、自主学習グループってどんなものですか?

自主学習グループは、公民館講座や地域で行われる社会学級を修了した人たちが自主的に継続して活動しているグループです。独立していくグループがあるとまた別な講座を開設することができ、さらに多くの方に学びの機会を提供することができます。だから、自主学習グループを作れるようなリーダーを育てていくことも大切なことです。好きなことを、仲間と過ごされた皆さんは、本当に充実したお顔で帰っていかれます。その顔を見ると私たちも元気をいただけます。

学生:公民館講座など、実践をするうえで松元らしさなど気を付けていることはありますか?

そうですね、鹿児島市には14の公民館がありますが、その地域ならではの講座をどの公民館も開設しています。松元で言えば、お茶とか町田久成。また、松元に住む方を講師にした講座も松元らしさだと思っています。そのためには、人材発掘はとても大事です。かねてから人とつながることを大事にしていると思わぬ情報をいただくことがあります。雑談は大事ですね!
ここは農村交流館も隣にありますので、来年は鹿児島の食文化に特化した講座も実施したいと思っています。
革やミシンを使った講座も他にはない人気の講座になっています。ミシンは、近くの松元小学校からお借りしています。こういうつながりも大切だと思います。
今、松元地域は人口が増加し、子育て世代も増えているのを感じます。そこで、託児付きの講座が増やせるといいなと思います。

学生:有村さんは学校教諭のご経験もありますが、学校での活動とここでの活動の違いや、意識していることなどはありますか?

学校教育も社会教育も人づくりという意味では同じです。社会教育は、地域が元気になるために必要なものだと思っています。人と人がつながることで一人ではできなかったことができたり、地域の課題をみんなの力で解決できたりします。時には真剣に、時には笑い合って一生懸命生きている、そんな大人たちの姿を見て、子どもたちはこの地域に生まれたことを誇りに思うと思うのです。
私は社会教育に携われたことで、本当に多くの人を知ることができました。学校に戻った時も、地域にどんな社会教育関係団体があってどんな活動をしているのかが分かっていましたので、学校と地域をつなぐ点でも大変役に立ちました。

学生:最近ICT化なども導入されつつありますが、このことについてはどう思いますか?

zoom会議とかは、時間や資料の効率化など便利なところもたくさんあります。でも、人とつながることを制限されたコロナ禍を体験して、対面して語れることの素晴らしさを再認識できました。うまく表現できませんが、顔を合わせて語ると画面越しでは感じることのできない心の交流ができることや空気感を感じます。公民館に来た頃はまだマスク姿の利用者さんが多かったのですが、緩和されてから顔全体が見えるようになり、まるで印象が変わったんです。顔が見える幸せ、直接話せる幸せを感じました。デジタルとアナログを上手に使い分けながら、人のつながりはこれからも大事にしていきたいと思います。
「公民館に行けば誰かに会える!」「話がしたいときにふらっと行ける!」そんな、人が集う場所になるのが夢です。

学生:異動があると館長の考えもなかなか引継ぎが難しいと思うのですが、気を付けていることとかありますか?

何かを始める時は、必ず職員に説明し、理解を求めてからやるようにしています。また、私がいなくなっても長く継続できるような種まきをしています。例えば、1階ロビーの本の展示などは今では司書が私より気にかけてくれて設営や本の補充などをしてくれています。 また、昨年立ち上げた「子育てを語る会」は地域の方を代表として公民館職員との連携で実施しています。
館長が変われば変わることはたくさんあるとは思いますが、「利用者にとってどうあるべきか」という考えは変わってはいけないことだと思います。

学生:有村さんがやりたいことや、こうなっていてほしい、などの思いがありますか?

一番は公民館をもっと多くの人に知っていただきたい、利用していただきたい、そのためには「公民館は講座があるところ」「自主グループがあるところ」だけでなく、公民館は色々な使い方ができることをもっと周知する必要があると思っています。例えば、うちの公民館はホールがあります。「ホールで演奏してみませんか」などと銘打って、演奏者を募って一日音楽祭を開催するとか。それから中高生の利用を増やすことができないかなど・・・考えていることはたくさんあります。
私一人の思いだけでなく、職員ともたくさん語りたいし、利用者さんの声も大事にしたい。使っていただいてこその施設だと思いますので、アンテナを高くして世の中の動きや利用者さんが必要としていることなどキャッチして形にしていきたいです。
これからも地域を元気にできる公民館、地域になくてはならない公民館を目指してがんばります。

奄美名瀬公民館 指定管理者WARABEE 川元さんインタビュー

学生:公民館やアマホームプラザを運営している目的をおうかがいしても大丈夫でしょうか?

川元:そうですね。あの私たちのNPO法人WARABEEっていう団体には地域活性化と青少年育成と子育て支援っていう三つの柱の事業があってですね。まあ、その全てにここの指定管理をする事業っていうのが入るわけですね。地域活性化にもなるし、もちろん青少年育成の場でもあるし、子育てをする人たちの支援にもなる。そういった施設の管理・運用することは、WARABEEの事業の柱になる。一番の柱の事業って言ってもいいぐらいでで、また私が公民館の職員だったんですね。

学生:はい。

川元:平成18年から職員として働いていますので、働きながら、まあずっとここに仕事をしたいっていうのもあったのもあるんですけど。それと法人として運営するのはまたちょっと違うんですけれども、事務局で働きながら、法人の運営もやっております。はい。

学生:すごい!その公民館職員になろうと思って、なったって感じですか。

川元:これはもう本当にきっかけがタイミングですね。ちょうどその時、自分は自営業してたんですよ。コーヒー専門店なんですね。でもそのコーヒー屋さんがうまく立ち行かなくなってですね。もうこれは失業になってしまうなっていうところで、ちょうど平成18年から指定管理が始まる時に、当時の指定管理者である楠田書店さんの社長、今の会長さんですね。会長さんがコーヒー屋さんのお客さんであって、ええ、前から面識もあったのでね。「君うちで働かないか」と言われて。で、その時の入社試験を受けてまあ、何とかクリアして、公民館職員になりました。はい。

学生:公民館職員として働いていて、ああなんかいいかなって思い始めたみたいな感じですか。

川元:そうですね。まあ、この公民館っていうのが図書コーナーもあるんで、奄美市の図書館みたいな感じがしてまして。本とかも好きだったのと、あとアマホームプラザもそうなんですけれども、ホールがあるんですね。イベントを行う会場が前の公民館にもあったんですけれども、まあ私自身が音楽活動とかもしてたので、そういったの裏方みたいなことも、割と抵抗なく出来て音響とか照明とか、そういった作業をね。もうこう生涯学習講座とかをやりながら、いろんな人と関わりながら、いろんな経験をさせていただいてまして。いい仕事だなと思って、続けていきたいなっていうのもありましたね。やっぱり一番人と人との関わりですか。

学生:なるほど。やっぱりそのアマホームプラザとか、公民館とかの人と人の関わりっていうのは重要にしてるって感じですか。

川元:まあ、それはもう一番といってもいいぐらいですね。例えば予算があれば、有名な人をこう引っ張ってくることができるわけじゃないですか。

学生:はいはいはい

川元:ですよね。だけど、こういうところでは人と人との出会いとかつながりとかでいろんな活動されてる方がいるんだとか、そういった方たちとのつながりがあって、そういった人たちの発表・活動の場っていうので、活用していただくっていうのが、やっぱりなんだろう。やりがいがあると言ったらなんですけれども、有名な人とか、今をときめく人たちを予算やお金があれば呼ぶことは可能なんですけども、まあそれ以外の地域性というか。こういう人とこういう人と人が交流すれば、なんでそういったのをまあ大事にしているというか。

学生:人と人との交流や関わりを大事にしたいって思ったきっかけってなんだったんですか?

川元:やっぱりきっかけっていうのは、もう長く働いているときっかけだったのか、よく覚えてないんですけど、やっぱりでも自分がここにいなければ関わることがなかった人っていうのはたくさんいるんですよ。例えば、音楽活動を私がしていたと言っても、実は私の個人の音楽活動で、ジャンルが違う人と関わることはないんですね。

学生:うん。

川元:ただここにいると新民謡とか島唄とかそういった活動される方のが多いんですよ。で、そういった方たちと関わる機会っていうのもなかったですし。まあ多種多様な人たちとここにいたら関わることができて、すごく勉強になるというか、視野も広がってるかどうかわかんないんですけど、広がっているといいかな思います。

学生:うん、それがやっぱりその人と人との関わり、大事にしていきたいっていうことから、その地域活性化とかに結びついていくっていうそうですね。

川元:あと私自身がシングルファーザーで、子育てもしながらの勤務だったので。

学生:うん。

川元:まあ、それは個人的なことなんですけれども、そういう自分自身の環境や経験も踏まえて、赤ちゃん用の英語英会話教室開いたりとか、あと生涯学習講座で子育て支援とか、青少年育成につながるような講座を開設したりとかっていうのもありますね。やっぱり。

学生:なるほど。だから、そのWARABEEの三つの柱に子育て支援っていうのが入っているんですね。

川元:入れてますね。はい自分がそうだからというわけじゃないんですけども、はい。

学生:自分の経験通してこういうのやりたいってはいっていうのが。あったから。

川元:やっぱり自分が(経験している)っていうのが一番こう人ともうわかり合いやすいっていうのはありますね。

学生:具体的に子育て支援ってどういうことされてるんですか?

川元:具体的に子育て支援に対して奄美市の行政にビジョンがあって何かをしてるわけじゃないんですけれども、さっきも言った通り、赤ちゃんから英会話レッスンとか、あと子育世代のお母さんたちがですね。そのサークル活動を行う場としてこの施設を利用していただくとか、まあその程度なんですけれども、はい。あと、昔はですね。自分がそうだったからそうわけじゃないんですけど、子育てするお父さんたちのサークルもしたことあるんですけど、なかなかやっぱ集まらないんですよね。

学生:そうなんですね。

川元:お父さんたちはそういった(サークル活動をする)時間があれば、あまりないもんだから時間が、そういった場に行くっていうよりかは、普通に子供と時間を過ごすと思うんです。やっぱりわざわざそういったサークルの場を求めて来る方っていうのは、主婦をされているお母さん、転勤されて、鹿児島から島に来るお母さんたちはやっぱりそういった場をおかないと。家で子供とだけ一緒にいても。身内もいなければ大変だと思うんで、そういった場には積極的に参加してくれるんですけれども、割と地元の人たちはもう家族とか、あの親兄弟が支援してくれるのであのあまり、地元の人の参加はあんまりないですね。うんどっちかっていうと、転勤族の人たちが多いです。

学生:そうなんですね、実際に川元さん自身が子育てでこういうこと困ってるなあみたいなとかってなんか?ありますか?

川元:ですねうんなんだろう。やっぱり父親。うん、母親とかじゃなくて2人だったのであのインフルエンザとかにかかった時、私がかかってしまうとちょっと大変でしたね。子どもにはうつせないけど、何も(家事を)しないわけにもいかない。

学生:うん、うんうん。

川元:はい、そういった時にあのインフルエンザとかだと他から応援を呼ぶわけにもいかない。子どもがもしもすでに感染ってたとしたら、預けるわけにもいかないっていうのがあって、ちょっと・・かなり大変できつかったかな。やっぱり家族と同居する、家族が多い方がいいかな?まあでも全員が感染してしまったらもっと大変だろうなとは思うけど、まあいい部分あれば悪い部分もあるんで。あえて言うならばそういったのでちょっと大変だった経験があります。

学生:なんかその、例えば。仕事がちょっと長引いちゃってお迎えっていうか、その一人で留守番させる時間長くなるみたいな時とかは?

川元:それは少なかったです。あのもうほとんど数える程度しかなかったのが、この職場がシフト制なんですよ。

学生:うんうん、

川元:まあ、代わりに誰かが入ってくれたりとか、結構職場環境に助けられましたね。良い職場の環境だと思うので、うん。私、ちょっとこの職場じゃなかったら、子育ては相当大変だったと思います。

学生:お子さん同級生の親とかでシングルファーザーシングルとかの人たちでそういうのでなんか大変みたいな人たちって結構いたりしますか?

川元:結構みなさんはやっぱりご自分の親と同居されている方が多いかな?でも、お母さんたちは横のつながりがすごいあるんですよ。友達が預かってくれたりとか、私たち父親っていうのはなかなかそういうコミュニティのがないというか不得手なもので。お母さん同士に比べたら、父親たちはそういうあの横のつながりが少ないかなあと。PTAとか言っても、やっぱり男の親父親一人ぽつんっていうことが多いかもですね。

学生:青少年育成事業もしてらっしゃるじゃないですか。やっぱりその子供っていうのになんか注目してる理由ってなんかあるんですか?

川元:そうですね。WARABEEっていう言葉の由来が、うちのnpo法人WARABEEっていうんですけれども、あの「わらべ」を奄美の島言葉で言うとワラブっていうんですね。あのワラブッカとか言うんですよ。子どものこと。

学生:はいはいはいはい。

川元:先ほども何度か話してるんですけど、赤ちゃん英語教室ベビーイングリッシュ教室っていうのを昔開催した時にベビーイングリッシュ教室ワラビーっていう教室だったんですね。
そういった 活動が中心になるっていうのがあって。あと、映像のイベントもやってまして、映像っていうのはもう映画ですね。映画祭みたいなことをしてるんです。自主上映作品の発表会みたいな小さなイベントから始めたんです。奄美にはそういう作品を発表できるような機会というか施設があまりないんで、私たちもそうだったんですけれども高校卒業して、あの東京は大阪、福岡、鹿児島に上って初めて接するもの(カルチャー)って多いんですよ。

学生:はいはいはい。

川元:で、そこに行くまでの経験値が圧倒的に低いんですね。

学生:うん、うん、うん

川元:なのであのすべてのジャンルにおいて、私たちがそれを支援することはもちろん不可能なんですけれども。例えば東京とかに行ったら、そういった映像サークルみたいな活動も高校生たちがしてて、発表とか上映とか発信をいっぱいするんですね。そういった場を自分たち自身で作ってやったりもするし、そういった場(施設)があったりもするんですけれども。今はユーチューブとかtiktokとかもあるから、どこにでも発信できるじゃないですか。

学生:はいはいはいはい

川元:だけど、やっぱりちゃんと作った作品っていうのを、お客さんがいて、会場に集めて見てもらうっていうのとは違うと思うんですよ。また違ったものがあると思うので。まあそういった経験もできれば、島にいる間に経験できたらいいなと思ってます。
ライブハウスはあるんですね。音楽活動できるような高校生たちでもライブして、発表しているライブハウスはあるけど、映像を発信するようなところって、あまりないんで。
そういったものやってみようかなと思ってやったりしてます。発表したい人がいっぱいいるわけでも全然ないんですけど。そういった場をこれからも作っていきたいなっていう風に思います。

学生:奄美にいる子供たちが外に出て行った時のための事業を結構やってるみたいな感じですね。

川元:実際多くはやってないんですけど、そういう思いも持ちつつ、企画したいです。

学生:その奄美から子供たちが出てて、まあ、その出てた先でもちゃんと何かできるようにみたいなのを。

学生:そう思うのは思うきっかけっていうのは

川元:自分たちが高校生ぐらいまでの時に、そういった文化的なものはなく、未経験のまま、東京に行って、どういう風にしたらいいのかもわからないし。だから一旦そういう環境が大人になる前にあったらいいかなと思うのもありましたね。うん。

学生:川元さん自身が一回東京に行かれたんですか?その時に文化の差っていうのを感じたんですか。

川元:そうですね。なんて言ったらいいのかな。今みたいにインターネットもなかったですから、その当時ははいだいぶ差は感じましたね。垢抜けてるって言い方は変ですけど、やっぱ自分たちはすごく田舎の人間だったなって思いますね。だからって田舎が悪いわけじゃないんです。田舎はやはりいいんで、それはもう素晴らしいことなんで、向こうの人にないものがあったっていうのはすごくいいんですけれども、うん。

学生:やっぱり奄美自体が出て行く人が多いっていうか、高校卒業したら奄美を出て行くっていうのがほとんどだから。やっぱり他の地域へ行っても、経験差をできるだけなくしてあげようみたいなのっていうのは、やっぱり強くて感じますか?

川元:そうですね、あります。それがほとんどそうなってると思うんですけれども、自分がさっき言ったような映像関係のイベントとか、そういったのはあんまりないだろうなと思って。というのが我々の時に比べたら本当に少なくなってきて、今の子たちはあまりそういった壁や抵抗はあまりないと思うんです。

学生:うんうん。

川元:そこでも思いつくことはやっていいかなと思って、あと個人的に映画が好きなので、奄美で映画祭をしたいのと、あと奄美の子たちで映画監督が出たらいいなとか思ったり。

学生:おお。

川元:極端に言えばそういう発想です

学生:すごい。やっぱり川本さん自身がそういう体験してるから、やっぱその子供たちにって思いが結構強い印象ですね。

川元:はい、あと、タイミングよくあの実際に現役で映画監督をされてたり、俳優業をされている方がここに移住してきて、またこれも出会いと巡り合わせじゃないですか。

学生:うんうんうんうん。

川元:そういうのもあってのことですね。はい、自分だけだと何したらいいか全然分かんないんで。やっぱ専門的な方が周りに近くに現れたっていうのもありますね。

学生:ああ、そうなんですね。すごいなんか運命的な感じがします。

川元:はい。ただ、さっき言ったように、その人たちがこう公民館とかに公民館講座を受けに来てくれて知り合ったっていうのがあって。はい、だからあのここはそういった出会いの場にもなるのです。大事にしたいところですね。

学生:以前公民館へお邪魔した時に、職員の方が「おお、元気いい」みたいな感じで話されてるの見たんですけど。

川元:髪が長かったですか?

学生:あ、そうです。

川元:彼は特別です。

学生:鹿児島市内では見られない光景だったなって。フランクに話せる感じ、住民との関係ってあんまりなんか見受けられない感じがして。鹿児島市内だと。

川元:はい、そうですね。まああのMっていうんですけど、彼はコミュニケーション力は特別に高いっていうのがあるんですけど、よく来る利用者の方なんかはもうなんだろう。利用者と施設の管理者っていうよりかはもう知り合いみたいな。友達ぐらいの感覚で来られたりすることありますね。

学生:講座以外とか、普通に日常の中での関わりって大切にされていますか。

川元:そうですよね。

学生:そうなってくると、その職員の関わりは結構大事になってくると思うんですけど。

川元:そうですね。はい。施設の職員にとっては、ちゃんと利用者と良好なコミュニケーションが取れるか、技術とか知識とかより大事かもですね。経歴も大事です。はい。

学生:じゃあその職員の方たちには「できるだけ話してね」っていうを言う感じなんですか?

川元:そうですね。あの。うん、いや、「具体的にできるだけ話してね」とか言わないんですけども。まああんまりこう堅苦しくないように。ただ、あんまりにもこうなんだろう・・距離感を相手側が引くようなことはしない。うん、なので、そういう距離感が苦手な人はちょっとここの職場が続かない方が多いかな。やっぱりちょっとコミュニケーションが上手な方が多いですね。うん。

学生:先輩の卒業論文を読ませていただいたんですけど。

川元:ああ、はいはいはいはい

学生:O先生に言ったら、M先輩の卒論あるよって教えてもらって、拝見させてもらったんですけど、そこにその職員が持ってる能力を生かすような職務をしてもらってるみたいな話が書かれてたんですよね。

川元:なるほど。

学生:それってなんかちょっと具体的にどういうことなのかなっていうのをすごい思って。

川元:まあ、例えばうちの職員って、いろんな勤務形態で入ってるんですね。週5日入ってる人も3日4日入ってる人もいて、副業としてこっちに来てる人。その中で何人かって言ったらおかしいんですけども。イラストレーターをしたりとか、デザインの質が高い職員がいるんですよ。あとアマホームPLAZAだけじゃなくて、四谷分館や住用地区の公民館も管理してるんですね。となったら、配置する職員は誰でもいいかとか、そうじゃなくて、全員で25名ぐらいで、その25名を適材適所に配置して。で、その人たちの能力を発揮していただくっていう感じですね。その中でもやっぱり全体で共通するのは、コミュニケーション力はないと、どこにいてもこう、公民館だからいろんな人が来るので。

学生:うんうん

川元:地域性の高いところは、地域の人と密接に交流できる人とか、あのアマホームPLAZAだといろんな人が外からも来るんで、東京とか鹿児島とかからそういった方たちとしっかり対応できる人。イベントがあったりすると、音響や照明の操作も必要なので、音響照明操作ができる人とか。

学生:ああ。

川元:あと図書があるので、図書の司書さん。司書の資格を持っているスタッフが一人いるんですけど、そういった感じであの。個々の能力に応じて、勤務する場所を決めたり、時間帯とか分けたりしてます。

学生:こういうのが苦手でとか、こういうのが得意でっていう話は、結構職員の方とされるんですか?

川元:あ、します。面接の時点で得意なもの、不得意なものをはっきり言ってもらって。

学生:うんうん、そうなんですね。

川元:致命的な不得意だと困るんですけど。

学生:職員間でのコミュニケーションってあるんですかね。

川元:普段からよく取れていると思うんですけど、一人で誰とも喋らないで、いつも隅っこにいる職員いないんで。

学生:うんうん。

川元:一人で勤務する時間もあるんですけども。まあ、みんなそれぞれ。月に一回、第3月曜日が休館日なんですけれども、その時しかみんな集まれないんで。二か月に一回ぐらいは集まって研修会は行ってます。ちなみに今度の月曜日は名瀬公民館で防災訓練ですね。

学生:研修会って具体的にどのようなことをされてるのですか。

川元:近況報告とか、共通でみんなで認識しておかないといけない事は、みんなで意見交換し合って共有したいですね。

学生:ちょっと質問を変えてさせていただきますね。公民館が今抱えている課題とかって何かありますか?

川元:これはちょっと設備的なものなのでどうかなってものです。やっぱり駐車場とか交通機関ですかね。駐車場が施設の収容人数と台数が全く合わないんで、車が停められないっていう方が多くて。近隣の有料駐車場がちょっと離れていたりとか、あと公共交通機関もバスの運行が少ないんです。ちょっと不便してるかなっていうのがありますね。

学生:施設内で多世代交流みたいなのとかってあったりするんですか?講座以外で交流は。

川元:イベントやる時に高校生とか専門学校生も参加してもらうとかっていうのはありますけどね。通常日常的にっていうのはちょっとあんまり。同じフリースペースで高校生や大人たちが一緒に使ってます。その中で交流っていうのはあまりないと思うんです。ただ、やっぱり小学生から来るんで、公共施設でのマナーっていうのはみんなそこで学んでいくと思うんですよね。例えば思いやり駐車場、車椅子用の駐車場に自転車を止めたりとか、そういった子たちにちゃんと説明して駐輪場に誘導するとか、公共のマナーっていうのが利用する子どもたちはちゃんと出来るようになっていて。見ていて関心だなっていう子が多いし。逆に我々大人のほうが学生から少し学ばないといかんかなと思う時もあります。

学生:日常的な関わりで中高生や高齢者の関わりはあまりないというお話があったんですけど、住民同士の横のつながりを作ることに関して意識していることはありますか。

川元:特に意識していることはありませんね。

学生:川元さんが公民館を運営していくにあたって大事にしていることは何ですか

川元:いろんな人が来やすいということを重視しています。高齢者から中高生まで誰でも来やすいようにしています。来易さっていうのは、敷居が高くないこと。公民館は公共的な場であるという役割もあるけど、個人的に重要視しているのは、受け入れる場所でありたいということ。このような場を作るには、住民同士にこう思ってほしいと思っても、個人がどう思うかはわからない。だから、何かを意識してするということはあまりないです。

学生:なるほど。

UNLEARN 山川校区公民館主事 有馬さんインタビュー(一部抜粋)

【1】山川校区公民館の活動

学生:まず初めに、山川校区公民館が主にどのような活動を現在されているのかっていうのと、その活動の目的を最初にお伺いできればなと思います。

有馬:私たちは市の生涯学習課に属していまして、校区公民館の役割っていうのはやっぱり学びとか集いとか、そういうのがメインですので、主に学校教育を外れている、あの生まれたてから高齢の方までの学びの機関と考えていますので、公民館講座ですとか、前は市民講座って言っていたのですけど、今生涯学習講座って言っているのですが、市民講座から生涯学習講座っていう風になったのですが、そういうのとか、あとは小学校の方で学校応援団のボランティアさんを募って学校に連れて行ったり。

学生:学校応援団は具体的にどんな活動されているのですか?

有馬:前はですね、学校からの支援のこうあのお手伝いお願いしますっていう声に答えて、ボランティアさんをそれにまあ対応できるボランティアさんを連れて一緒に行って子供たちの授業に参加したりとか、あと清掃したりとか、あと農業とかそういうのを今でもやっています。この間はあの持久走の立証をしました。あとお芋の畑を耕して、一緒に芋掘りまで手伝ったりとか。

学生:なるほど。

有馬:今月曜日の夕方だけですけど、放課後子供教室っていうのがあって、やっぱり地域のボランティアさんと一緒に、申し込んだ子どもたちだけなんですけど、今、何人かな?一回につき20人位までですかね、一年生から六年生まで。先に宿題をさせて、その後ボランティアさんや私たちと一緒に遊んだり、あとプログラムを作ってるのですが、今は来年度のカレンダー作りとか、そういうなんかこう工作とかをしたりします。この間は、割り箸鉄砲作りました。これが基本形ですけど、子供たちはすぐに応用して7連射とか。すごいですよ、子供たちなんか。

学生:それも地域の方々と子供たちが一緒に?

有馬:そうです。そこに私たちも混じって、最後は必ずボランティアさんに「ありがとうございましたっ」てお礼をしてから帰ってお迎え来てもらって。そういう繋ぐ役割やっています。

学生:なるほど。この辺りは小学生何人くらいいますか?

有馬:そうですね、三年ぐらい前にあの旧山川町で4個あった小学校が一つに統合したんですね。だからこの山川の町、福元地域からはここからスクールバスが出て、今、旧大成小学校のところに山川小学校って言って前の四校区からこう集まってくる感じになっています。

学生:なるほど。ここの公民館の活動に参加されるのは福元校区の子が多いんですか?

有馬:前はそうしていたのですが、今はもうどこの子でも参加できるように。市のバスを使えるので運転手さんにも来てもらって。全部で、ここの子だけって限らずに募集はしています。

学生:この公民館は、昔からそういった活動を活発にされていたのですか?

有馬:前はそうでもなかったかもしれないです。

学生:有馬さんたちが関わるようになってからですか?

有馬:えっと、市町村合併をしてからまだ11年ぐらいですかね、山川校区公民館っていうのはその頃にできました。

学生:あ、合併した頃に?

有馬:うん。前は自治公民館しかなかったので。私も途中から入ったので、途中といってももう十年ぐらい勤めているのですが。最初はここの小学校の子だけは集めてあのわくわく体験塾っていうのをやっていました。あのフェリーに乗ってあの向こうの方のちょっと見学行ったり遠足行ったり、あと大きい凧をみんなで作って飛ばしたりとか、そういったのをやっていて、途中でもう無くなってしまって。であの社会教育課、今は生涯学習課ですけど、そちらで補助金をいただけるので、最大10万円ぐらい。で、ちょっと人数集めて計画書を作って、で色々と活動はしてきました。

学生:じゃあ活動は合併した頃から少しずつっていう感じですか?

有馬:うん。やっと軌道に乗った感じです。ありがたいです、私はなんかただ考えて、行動してくださるのはみんななので、ありがたいです。

【2】山川校区公民館による異文化交流活動

学生:異文化交流についてちょっと詳しくお聞きしたいのですが。異文化を快く受け入れる地域の環境っていう特徴が(地域に)あったっていうのが拝見した資料にあったのですが、そこについてもう少し深くお伺いできればなと思います。

有馬:そうですよね。昔から開講されていたのですが、今でも何ですかねあの、最初は中国の方だったのですが、鰹節工場があるので、そこに技能実習生として何期ぐらいかちょっと私も忘れてしまったのですが、第二期のあの中国の人と仲良くなった時に中国語講座をしてもらえないですか?とお話をして。で、あのもう帰国されていますけど、喜入にY先生っていらしたんです。あの中国雑貨とかを売ってらっしゃる方で、ご夫婦で中国からいらしていて。その方に習っていたのですが、そのY先生が帰国されることになって。で、もともと中国語習うのが好きでずっと勉強していたので、その子にお願いして、あの中国語の講座してもらえないかっていうのが始まりでした。で、その子はえっと、昔から学校の先生になるのが夢だったっていうので、私たちに中国語を教えてくれるのをすごく「ボランティアでします!」って言ってくれて、中国のこととか、歴史とか中国語はもちろん、で時々帰国するとお土産いっぱい買ってきて、いろんなお話ししてくださったりして。その子が始まりでしたね。一回目は、その子とその子の友達の中国からこちらに嫁いだ人たちで、あの異文化交流会みたいなものをして。餃子を習いました、そのとき。

学生:素敵。有馬さんがそのY先生と最初に仲良くなったきっかけっていうのは?

有馬:指宿市の市民講座でした。中国語講座があったんです。

学生:なるほど。それがきっかけで、ここでもできるようになったという感じですかね?

有馬:はい。あと、あの鰹の漁船って言うのですかね?なんか私も釣りのこととか全然わからないのですが、お魚持ってくる船に、外国人の男性とかがよく乗ってくるのかな?それで昨日、一昨日もお散歩をしているのを見たのですけれど、で、そういう方たちはもう昔から、もう山川にはちょくちょくいらっしゃってて、みんな。最初、私もちょっと怖くて見かけると隠れてしまっていました。今は結構みんな通っている人にこんにちはとか、挨拶するようになってきていますね。

学生:異文化交流会をやるってなって、鰹節工場のベトナム人の方に来ていただく参加していただくってなった時に、どうやって情報を周知したのですか?

有馬:その時の館長さんが、元々この山川校区公民館の館長は二つの自治公民館の区長さんが交代でしてくださるんですね。でその時がちょうど町区の館長で今もそうなのですけれども、で、その鰹節工場の方達、ほとんど町区に所属しているのであの館長さんと一緒にあの、なんて言ったらいいのかな、あの「お母さんの会」みたいなのがあるんですね、面倒見てくださるいくつも工場があるので、その中から代表で3つか4つ毎年技能実習生たちの寮生活とかのお世話係の代表みたいな。で、そのお母さん係、お母さんの会の代表の方のところにちょっとお話持って行ったんですよ。こんなことをしたいと思っているって。そしたら理事をされているSさんって方いらっしゃるのですけど、その方は県の技能実習生を受け入れるところの理事をされていて。お偉いさんで。その方のところには、次ご相談に行ったら「いいね、いいね」みたいな感じで乗り気になってくださって。とりあえず私も知っている方が何件かあるので、そういうところに館長さんと2人で一軒一軒まわって、声かけて行きました。

学生:その参加者が増えるっていうか、浸透するまでに時間はかかりましたか?

有馬:意外と早かったです。あのみんな参加してくれる子たちが喜んでくれて。

学生:技能実習生の方々も必要としていたのでしょうね。

有馬:やっぱり私たちが始めた理由っていうのが、工場と寮の往復で楽しみっていうのが、ね、田舎だし、街に出るにも自転車ではちょっと時間がかかって。何か楽しいことないかなって思ってくれていたのではないかなと思います。

学生:ベトナム国籍の方がやっぱり多いのですか?

有馬:今はベトナムが三年生と二年生なんですね。で、最近インドネシアの方がもうベトナムの方は終わりで、インドネシアが今度ずっと入ってくるって言っていました。

学生:なるほど。じゃあその内容もインドネシアの方に変わっていくのですか?

有馬:変わっていきます。今年から。もう計画しています。1月の20日と21日で。2日間で。40人40人ですかね。

学生:毎回このぐらいの人数が?

有馬:いつもはもうちょっと少ないぐらいですけれど、今回来たばっかりだから。40人近く来てね。ベトナムの子とか、あと各事業所の働いている方達にもちょっと来てほしいなっていうお話をして。最初、歓迎会をここでやるつもりが、その時またコロナが増えた時だったので中止になって。これに変えました。

学生:今回は外国の文化を楽しむという感じではなくて、日本の料理を楽しんでいただくっていう感じになるのですか?

有馬:最初は「インドネシアのお料理を習おうっ」て言っていたんです。あと、あの貿易会社の社長さんがインドネシアに何年もいらっしゃった方がいらして、その方に来てもらって、イスラム教のこととか、あとなんか、なんでしたっけ?こう戒律とかなんか食べたらいけないものとかありますよ。そういうのをみんなでやっぱり共有して、ちょっとイスラム教って聞くと怖いって思う人もいると思うので、テロとかこう結びついて。全員が全員じゃないっていうことはわかっているけど、なんとなく、知らないっていうのは怖いので。みんななんかこう、ちゃんと知って、あのちゃんと受け入れたいねっていう感じで。だけどですね、なかなかこう都合がつかず。残念ながら今回は日本料理に変わりました。

学生:でも宗教のこと大事ですよね。

有馬:はい!このメニュー作りもアルコールと豚肉なので。豚汁が薩摩汁にして。酒井先生にも言ったんですよ。そしたら酒井先生があの鴨池に、イスラム教のなんですかね、こう教会みたいなのがあるんですかね、そこに一緒に行きましょうかって誘ってくださったんです。なかなか先生もお忙しいでしょうし、甘えられないよねって言って。

学生:異文化交流って、何語で交流されるんですか?

有馬:日本語です。だから最初の一回目の交流会の時には多分もう三年生だと三年間日本にいるから、日本語堪能でしょうってみんなで考えて、で三年生に出席してもらうことにしようってして。その時はもう普通に皆さんやっぱり会話できたので。一年間二年生には申し訳ないねって言いながら。

学生:日本語なのですね。やさしい日本語っていう感じですかね、簡単な日本語?

有馬:そうです。すごく個人差が大きいので、皆さん、あの日本語を習得されているレベルが全然違うので。あのやっぱり何人も検定試験受ける子もいるので、日本語検定2級に合格するレベルの子もいたり、3級4級の子もいたり。

学生:なるほど。交流の中で、参加者同士の印象深かったエピソードとかあったりしますか?

有馬:はじめはベトナムの子だけだったんですけれど、その中にさっきの中国人の、中国語の講座してくださっている子とか、あと台湾から市にこう、なんですかね、お仕事で来ている方とか、少しずつ、多国籍じゃないけど、そういう感じにしていて。でもみんな日本語でお話されるんですよね。だからなんかそういうのがすごく面白かったです。「ここの共通語は英語じゃなくて日本語」とか言って(笑)。

学生:地域の方と技能実習生の交流っていうのは?

有馬:あの、今年だったかな。このみなと祭りっていうのは山川の6月にあるんですけれど。ここで踊りをすることになっていて、この踊りの練習に山川の町区と福元区の婦人会のお姉さま方と一緒に練習させてもらったんですよ。その時に皆さんすごいなんかこう話しかけてくださって。で、何日も練習したんですけど、一日雨降った時があって、帰りになんかあの「お家どこ?」って聞かれていて、で「連れてくよ」って言って、あの車に乗せてもらったりとか、なんかお野菜をもらう約束してたりとか。なんかやっぱこういうのに参加してくださると、まちとかでまあこんにちはとか挨拶するぐらいだと思うんですけど、こういうので一緒に練習とかしてくれると、もっともっと仲良くなれている感じです。

学生:実習生にとっても地域に知っている人がいるって安心だと思います。

有馬:だと思います。この後は指宿の温泉祭りのあの踊りの練習の、また今度はえっと、この時(みなと祭りの時)にはあの揚場って言って、下の漁協のところだったんですけど、2回目の温泉祭りの踊り練習はここ(公民館)のホールであったんですね。その時に会った時に、「久しぶり!」とか「元気?」とか言っていたのね。みんな顔見知りになって名前とか呼んで、なんかお友達になっていて。みんなフレンドリーだからですね。

学生:ベトナムの方でしょうか?

有馬:ベトナムの方と、この子たちはフィリピンの子も入っているんですけれども。そうそう、フィリピンの子は農業の子が多いですね。ベトナムの子は漁業で、フィリピンの子は農業が多いかな、山川は。

学生:勝手な印象ですけど、技能実習生っていうと男性が多いイメージがあって、ちょっとびっくりしたんですけど、女性も多いんですね。

有馬:そうなの!業種かな?あの、来るときに造船所があったと思うんです。あそこは男性のフィリピンの方が何人もいらっしゃいますね。

学生:職種によるんですかね?

有馬:だと思います。この子はKっていう女の子なんですけど、フィリピンの、で私と一緒でK-POPファンで、昔から。この子は韓国に行きたくて、韓国語を自分でも勉強していたんですけど、韓国は男性しか取らないって言われたらしくて。行けなくて、仕方がなくっていう感じで日本に来たみたいですよ。

学生:日本と韓国でも違いがあるんですね。

有馬:違いがあるみたいね。今、私の母の弟が脱サラして農園をやっているんですけど、ベトナムの方に来てもらっていて、その子は今22、23歳の子ですけど、もうあと来週くらいには埼玉の方にまた、違うところに働きに行くっていって。その子はセブンイレブンの食品工場でした、次は。すごいですよね、みんないろんなところに羽ばたいて。

学生:埼玉に?

有馬:うん。やっぱりちょっと都会にね、行きたいですよね。

学生:このみなと祭りは、伝統的な地域のお祭りですよね?

有馬:はい。もう何十回だったかな。今年で80回?かな。

学生:技能実習生が参加するようになったのは最近でしょうか?

有馬:今年から。ちょうど商工会の事務局長さんに、「何か絡めないですか」みたいな感じで、「なんかお手伝いもらえないですか」みたいな感じで言われたので。その時はベトナムとフィリピンの実習生の子たちが顔見知りじゃないのでまだ。その子たちの顔合わせをしたいと思っていて、お互いの料理を作る講座を考えていたんです。で、それからじゃあ料理をするので、次の日の朝に同じものをいっぱい作って振る舞うっていうのをしましょうかっていって。好評でした。

学生:これはベトナムの方とフィリピンの方の交流が最初の目的?

有馬:でした。で、それからの広がりっていう感じですかね。講座の後、お祭りの花火大会があったんですね。で、その子たちみんな行って。次の日は朝5時に集合して、作って、その後踊りに出て、その後振る舞い(笑)。もうみんなクタクタ。「疲れたね。大丈夫?」って聞くと「楽しいしいい経験だし、思い出になる」って。

有馬:生涯学習課の仲間と自主講座で異文化交流会を立ち上げているんです。最初から携わってもらっていて、そのメンバーと、自治公民館を担当している、元生涯学習課の私たちの上司で、すごい理解があっていろんなことを教えてくれたり手伝ってくれたりして、ありがたいんですけど、健康協働のまちづくり課のKさん。酒井先生ともお知り合いだと思います。めちゃくちゃお世話になっています、この方には。裏方を日本人がして、お客さん対応をベトナムとフィリピンの方にしてもらったっていう感じですね。

学生:日本人は裏方なんですね。そこでも交流は生まれますね。

有馬:うん。タガログ語とベトナム語で「こんにちは」と「ありがとう」を言ってもらって、それから手渡してっていう感じで。で、これを見ていた他のベトナムの子が、私もやりたかったっていう言いに来てくれて、ここに。

学生:素敵。ただ職場と寮の行き来だけではなくて、こういう交流って大事ですよね。

有馬:今でもですね、結構あの誕生日とかなんか行事ごとにみんなでちょっと集まったりして、ご飯食べたりしていますよ。

学生:公民館使ってですか?

有馬:公民館以外で!で、この子たちがいるので、日本語勉強したいし試験も受けたいって言うので、あのなんですかね、生涯学習講座でやさしい日本語を学ぼうっていうのを始めていて。講座での成果発表っていって文化祭にも出させてもらっています。

学生:地域の文化祭で?

有馬:そうです。山川地域での文化祭です。去年から参加させていただいています。その子たちの講座はこんな感じの、ちゃんと日本語の勉強を半分はして、あとは茶道体験とか。先生がタイで17年くらい、大学であの日本語を教えていた方で、途中で京都とかでお花とか茶道とかの資格を取って、またそれも向こうで教えていたらしくて。今年は三味線挑戦してもらって。

学生:日本人でもなかなか体験をしたことがないようなことまで。

有馬:すごく上手にできていましたよ、みんな。事業主さんたちに来ていただいて、で立てて飲んでもらうっていうことをしています。去年はえっとA新聞、今年はB新聞に取り上げていただいて。ありがたいですよね。

(中略)

学生:ベトナム語等の書籍が展示されている図書スペースのお話なんですけど。設置された後って地域の方々や技能実習生の反応っていうのはどんな感じだったんですか?

有馬:はい、あの本当に勉強に来てくれる子とか、あと私が夜の講座で残っていると、見に来てくれる子が何人もいて。であれですあの、住民の方の方は、あの赤ちゃん連れの子連れの人達が結構来てくれていました。

学生:絵本?

有馬:そう、絵本を置いているので。

学生:実際に借りることできるんですか?ここで見る専用ですか?

有馬:ここで見るだけにしてくださいって、一応は。

学生:本はそのベトナム語の本とか、日本語の参考書っていうのが置いてあるわけじゃないですか。その本を通じての地域住民の方と技能実習生の交流っていうのはあるんですか?

有馬:その本を通じてっていうのはちょっと、あまり見かけないかもしれないんですけれど、あの日本人の方でも、あのその本を見て、で興味を持ってくださる方はいるみたいで。で、今まで2人ぐらいですかね、「これ借りて行ってもいいんですか?」って声をかけられたりとか、あとベトナム語勉強してみようかなって言ったりとか、いらっしゃいますね。

学生:興味を持つきっかけになっているんですね。

有馬:うん。で、漫画も置いてあるので、あの日本語とベトナム語の、鬼滅なんですけど置いていて、で一巻は日本語だけのもあるんですね。で、「日本語のこのセリフはこれなんだね」みたいな感じで、小学生があのスクールバスで帰ってくるじゃないですか、小学生たちの時々見たりしていますね。

学生:いいですね、小学生も言語の比較で楽しむことができて。

有馬:はい。次はインドネシア語を持ってこないといけないですね(笑)

(中略)
学生:有馬さんが、そのこの公民館での活動を通して技能実習生と交流した中で、印象深い話はありますか?

有馬:あの日本語検定能力試験二級を取った子がいるんですけど、すごく前向きな子だったんですよ。で、こっちであの、技能実習生として働いている間に、自分のお父さん亡くなっちゃって。で、それからちょっとあの帰ったりしていたんですけれど、なんかあの、頑張り屋さんだったので、ここを終わってからまた神奈川県の方のサンドイッチ工場に行ったんです。でも、結局そこは長く続かずにあの自国に帰ったんですよ、ベトナムに。で、ベトナムであの日本に留学してくる子たちに日本語を教える日本語センターみたいなところで教えることができて。二級って大きいですからね、資格として。でその子が結婚する時とか、あの神奈川に行ってからも帰ってからも時々連絡くれるんですよ。で結婚式のお写真とかも送ってくれて。素敵だった。

学生:ここでの繋がりとか、思い出を大切にしてくださっているから、そうやって連絡も取って写真を送ってくださるんですよね。

有馬:そうなの。赤ちゃん妊娠したよとか産まれたよとか。もうね、すごい密にくれるんですよね。一緒に結構勉強も、分からないとことか一生懸命聞くけど、2級の試験って難しいんですよ、日本語なのに。私もちょっと待って勉強してみるって言っていたら、一時してから返事したりとかして。そう、でもそういう子があと2人いて、で、その子たちもしょっちゅう連絡くれます、帰ってからも。

学生:素敵な関わりがここで生まれているんですね。

有馬:そう。その子たちはのう本当に頑張っていたので。優しい子たちでした。本当に優しい子たちで。私もなんか鹿児島にあのちょこちょこって行くと、ベトナムの食材とか、見つけるたびに買うじゃないですか。フォーの麺とかいろいろとか。買っていくとなんかね、お金使わないでくださいって。そういうとこも優しいよね、なんか。自分たちはなんかお料理作って持ってきて、家バレしているから、家近いって私(笑)。「持ってきたよ」って言って。

学生:そういうところって、公民館飛び出しての交流ですもんね。

有馬:あの子たちに対しては、でもほんとなんか、子供みたいな感じの感情を持っているかも。いろんな講座に来てくれている子も、日本語講座だけにとどまらずに、何か別の講座とかにも参加したいって言ってくれて。で、来年は韓国語講座やって、あの韓国料理講座やっているんですけど、それに参加していいって聞いてくれて。もともともう山川の町自体が若い人が少ないじゃないですか、まあ、どこの町もそうなんですけど。だからなんだろうな、外国から働きに来てくれた子たちが元気にやっぱりいろんなことに参加したり、挑戦したりしてくれると、まあ、町もちょっと元気になるんです。お年寄りの方たちもなんか若い子が頑張っているねとかなんか楽しそうに笑っていると、それだけでなんかちょっとこう楽しくなるじゃないですか。だからこの子たちにもうちょっとこう、 楽しんでもらえるようなことを提供できたらなと思います。

学生:やっぱり若い方は少ないですよね。

有馬:少ないです、本当に少ないです。みんな出て行っちゃう。働くところがまずもって本当にあんまりないっていうか。

学生:でもその技能実習生のニーズとしては、同世代の子たちと交流したいというのは?

有馬:そうです。あります。難しいところですね。

【3】山川校区公民館の課題

学生:では改めまして、今後の山川校区公民館の課題として考えられていることがあれば、教えていただきたいです。

有馬:やっぱり、過疎が一番の問題、どこもなんですけれど。で、利用してくださる方も多いのですが、やっぱり固定してしまっているので、もうちょっとこう、幅を広げていきたいって思います。なんですかね、私にできることで、どこまで広げられるのかってやっぱ結構考えるんですけれど、でも私も、固定観念とかなんかそういうのがやっぱりあるじゃないですか。もう私も脳みそが柔らかくないので、だからちょっと自分も変わらないといけないなと思って。去年一昨年ぐらいから苦手なことにチャレンジしようって思って、アウトドアがすごく苦手で、虫とかも嫌いなので。でもできるだけでも頑張ろうと思って、アウトドア研修とか、受けに行っています。あと今サバイバル講座に通って、この前はあの竹でお箸作って。で、またそういうとこ行くと新たな方たちと出会うので、なんかこう、この方はこういう講師してくださるんじゃないかとか、すごい仕事に結びつけちゃうんですけど、自分が変わってちょっとこう広げられたらいいなって。で、そこで出会った人たちと鰻を釣りに行こうっていう話が出て、どうしようって思って。釣りは無理って思ったんですけど、でも、無理はだめって思って(笑)。行ったんですよ、そしたら餌の写真でミミズの写真が送られてきて、びっくりしちゃって。

学生:チャレンジできることが素晴らしいです。

有馬:泣いているだけです(笑)。

学生:では、この公民館が、実習生も含めて地域住民の方にその、住民の方のためにどのような場所でありたいか、あるべきかっていうことに関して、お考えをお伺いしたいです。

有馬:利用してくださる方はちょっとまあ、ちょっと固定してきてしまうのですけど、それでも、基本もうみんなが楽しく集える場所であり続けたいと思います。なんかあの、いつもドアも窓もオープンしていたので、本当に何ですかね、いつでも誰でもいいので来てくださいっていう姿勢は示していると思っているのですけど。敷居が高いっていう言葉が当てはまらないと思うんですけどね。

学生:敷居が高いっていう声が実際にあがっているのですか?

有馬:あがってはいないけど、やっぱり何ですかね、そこのドア(事務室入口のドア)からみんな一歩入ってこないんですよね。そこも冬でも常に開けているんですけどね。窓にはちょっとなんか季節のやつ飾ったりとかいただいたものとかを飾らせてもらったりとかして。一生懸命フレドリーな感じを演出しています(笑)。

学生:そうですよね、誰でも集える場所ですもんね、公民館っていうのは。

有馬:はい。できないこともありますけど、できるかな、どうかなって相談して欲しいですよね。一生懸命答えられるように頑張るので。

学生:この山川校区公民館に限らず、公民館の価値だったり可能性だったりっていうのはどのようにお考えですか?

有馬:何ですかね、あの、価値っていうほどじゃないと思うんですけれど、みんなが何ですかね、こう悩みとか悲しい感情とかを持っていても来て、こう心を開いてもらえるような、楽しい時にも楽しいで、こんなこといっぱいあって楽しかったんだよねっていっぱいこう話ししてもらえるような。なんか結構一人暮らしの人とか多いんですよね、だから、孤独感を感じている人とか、寂しさ感じてる人結構多いと思うので、ここに来てお話すれば心が軽くなったよ、みたいな。公民館ってなんかそういう、こう、いいことばっかりじゃないですけど、楽しい場所であり続けて欲しいと思います。私は話を聞くことしかできないですけどね(笑)。

学生:それが大事だと思います。

有馬:ありがたいことに手作りのお弁当とかお惣菜持ってきてくださる方が何人もいらっしゃるんですよ。野菜とか届けてくれて、昨日もあのお菓子とチョコレート持ってきてくれて、優しいのよ。ありがたいことに。来てくださる方はたくさんいて嬉しいです。ここで井戸端会議してもいいし。私、友達同士もそうなんですが、学生時代の友達とか、社会人になってからの友達とか、私の友達は、みんなをこう繋げていきたいんです。なんか、だから忘年会とかも学生だけのグループでするんじゃなくて、わざと社会人になってからの友達とかみんなでやって。そうやってみんなでこう繋げていきたいので、ここで会った人たちにもなんかこう、違う講座の人たちとかでも、あ、この方はってこうどんどんどんどん紹介して、ちょっとうざがられているかもしれないですけど(笑)。みんなを繋げていきたいっていう感じですかね。私と一緒にいてくれる人には、楽しかったとか、幸せだったとか思って帰ってもらいたいです。公民館に来てもらっても、なんか、いいことあったって思って帰ってもらいたいです。こういった活動は私じゃなくて誰でもできるんです。私が言ってみんなが来てくれるからできているんです。