『漢とは何か』を出版

教員:
2022.4.25

人文学科多元地域文化コースの福永善隆准教授(東洋史、中国古代史、秦漢史)が、分担執筆者として関わった『漢とは何か』(岡田和一郎・永田拓治編、東方書店、2022年)が出版されました(第一章「集団から帝国へ─前漢」、コラム「劉邦の伝承とその影響」を分担執筆)。

漢王朝(前漢・後漢)は「漢字」・「漢民族」等にその名を残しているように、中国の歴代王朝にとっての規範・モデルとしてたびたび回顧されてきました。本書では前漢~唐(紀元前3世紀~10世紀)までの各時代を研究領域とする執筆者がそれぞれの専門と関わるトピックを選んで、漢王朝の制度あるいはそのイメージが与えた影響について、さまざまな側面から論じています。

福永准教授が担当した第一章では、漢王朝を創始した高祖劉邦に付き従った功臣集団の変遷を中心として、前漢の成立とその統治体制の変容について明らかとされています。また、コラムではそれと関連して、鴻門の会のエピソードで有名な高祖劉邦にまつわるさまざまな伝承が、漢王朝の権威を打ち立てるためにどのように利用されて『史記』などの歴史書に記述され、さらに、その後、どのような影響を与えていったのか、述べられています。