大崎町で多文化共生調査を実施(12)

教員:
2021.8.10

6月30日(水)に大崎町の多文化共生基礎調査を実施しました。(酒井ゼミは公益財団法人マツダ財団から助成を受けて昨年度から「住民参加型による外国人技能実習生の地域包摂に関する調査研究~鹿児島県大崎町を事例に~」と題したプロジェクトに取り組んでいます。本調査は、特定非営利活動法人大崎ものづくりネットワーク振興会鹿児島大学大崎活性化センターからご協力頂いて実施しています。)

午前は、大崎町が目指すビジョンに賛同し2020年7月鹿児島県大崎町に設立された合作から取り組み概要等をうかがいました。
午後は、2つのグループに分かれ、大崎町教育委員会管理課及び住民環境課の松元さんからそれぞれ取り組み等をうかがいました。

学生Aの感想
午前は合作さんのお話を伺った。その中で私たちが質問をするだけでなく、その質問に至った経緯や私たちの考えに耳を傾けてくださることも多かった。今までガッツリとそのような機会はなかったため、とても良い経験になった。また私たちの中で企業と住民のつながりや関わりの場があるのかという考えがあったが、斎藤さん含め、合作の社員の方は、合作という会社が何をしているのか、目的は何かというのを慎重に丁寧に行い、住民の方といきなり距離を詰めるのではなくまず信頼関係を築いてから様々なことを行って行こうとしていると伺った。私たちもプロジェクト、ワークショップに向けて大崎町に訪問しているが、確かにそうだと感じる点があった。今回は特に、いきなりつながりや関わりの場を探すのではなく、自分達の目的や仕事に取り組むことで、関わる方に誠意が伝わり、それから信頼関係を築いていくことが重要だと思った。
午後は管理課さんと教育長さん、大崎中の教頭先生の話を伺った。印象的であったのは私たちが思っている以上にコミュニティースクール(CS)は子供や住民の方へ良い影響があった点である。専門ではない教科を教える先生の補助や、普段学校では体験できないことからさらに発展したもの。特にはちみつの話は前回も伺ったが、カレンダーの話はとても興味深かった。写真家の撮り方で生徒が撮った写真をカレンダーにし、それがふるさと納税の返礼品となったのは、生徒にとってなかなかない経験であると感じた。また私たち大学生が生徒と、ないしは生徒に何かできないかという話について、とても面白いと思ったため、生徒や学校のニーズを聞いて、SDGsに関連した活動ができないか考えてみたい。
午前と午後での話の中で共通していたのは、何をするにも信頼関係を築くことが重要であるように感じた。もっと大崎の方との関わりや話様々な機会を大切にしたい。

学生Bの感想
合作代表の斉藤さんがおっしゃっていた自分たちがしていることを言語化するということは私たち学生にとっても大切なことなのではと思いました。大学で何を学びたいのかこのゼミで何をしたいのかについて言語化できなければ、自分が何をすべきかが不明瞭なまま活動をしていくことになります。改めて自分がここで何をしたいかと聞かれた時にはっきりと答えられる自信がありません。自分に欠けていた部分に気付かされました。
また、今までとは違って初めて企業の方の話を聞きました。行政の方の話を聞くときとは違い、私たち学生にもどう考えるか意見を求められる場面がありました。このような行動が企業のクリエイティブな部分に繋がっているのだろうと強く感じました。自分にとって、とてもいい刺激になりました。午後の管理課の方のお話から今までの訪問で、CSになぜ技能実習生が介入しないのか詳しい理由について聞くことはありませんでしたが、今日やっと管理課さんの方から聞くことができました。原因としては、資金の問題であったり企業との待遇の差が生まれてしまうことを防ぐためなどがあり、やむを得なく中断しているとのことでした。非常にリアルな原因だったので、簡単に「介入してもらおうよ」ということはできないのだなと感じました。ここで諦めてしまうのは非常に勿体無いので、いかにしてできる方に持っていけるかが今後の課題かなと思いました。
飴のパッケージ製作や写真の撮り方を教わったことを生かしてカレンダー製作を行い販売するような取り組みは非常に素晴らしいと感じました。これは大崎中学校でしかできない体験なので、子供たちにとっても誇りになるのではないかと思いました。
CSは学校で行っているため、学校側の責任になることから一概に住民の方を講師として呼ぶことができないということになるほどと思いました。以前はCSに多くの住民の方が関わることでいきいきとしたまちづくりにつながるのではと考えていましたが、管理課さんのお話からそう簡単にはいかないのだなと思いました。この人なら子供たちにこんな学びを提供してくれるから大丈夫!と信頼関係ができてはじめて任せられるとのことでした。今日は理想論というよりはリアルな現場の声を聞くことができたなという印象でした。
最後に、大崎中学校で行っている生徒間で自由に意見交換をしながら学んでいくという教育方法にとても惹かれました。自分が考えを発信したり相手の考えを受け取ったりなどの作業を行うことでより深い学びになり、自分の考えを述べる体験を子供のうちからすることは、大人になったときに非常に役に立つのではないかと思いました。

学生Cの感想
まず、合作さんのお話を聞き、合作さんはまだ住民の意見を取り入れる取組は実施できていないということを知りました。その背景には、地域住民と関わる際、合作さんが何に取り組むのかはっきりさせることで、地域住民との軋轢が生じないようにするという合作さんの考えがあることを教えていただきました。そして、今後プロジェクトを実施するにあたって、私たちの価値観を押し付けるような一過性のものではなく、住民のニーズを丁寧に汲み取り、今後の大崎町の活性化のきっかけとなるようなものを実施するよう心がけようと思いました。また、女性登用に関して質問した際、女性職員の方々のみならず私たちゼミ生の意見をお聞きになり(女性の活躍を推進すべき、ということを言われすぎる点に違和感を感じるという意見が多かったと思います)、その意見を踏まえたうえで、斉藤さん自身の経験も交え、女性が活躍すべきという思想に偏るのは危険だとおっしゃっていた点も印象的でした。この点において、ゼミ生同士の意見交換も丁寧に行う必要があると思いました。
次に管理課さん、教育長さん、大崎中学校教頭先生のお話を聞き、大崎中学校のコミュニティスクールは、一方的な講座ではなく、生徒が企業と協力して商品パッケージやカレンダーの製作を行うなど、生徒と地域住民・企業との双方向的なやり取りがあることを教えていただきました。しかし、生徒が地域住民と交流し、実体験を通して学ぶことは、身近な自治公民館でも行うことができるのではないかと思いました。そのため、生徒が学校以外で地域の住民・企業と関わるハードルを下げるためにどんな取り組みができるのか関心をもちました。