大崎町で多文化共生調査を実施(7)

教員:
2021.3.23

3月3日に希望者のみで大崎町の多文化共生に関する調査を実施しました。(酒井ゼミは公益財団法人マツダ財団から助成を受けて本年度から「住民参加型による外国人技能実習生の地域包摂に関する調査研究~鹿児島県大崎町を事例に~」と題したプロジェクトに取り組んでいます。本調査は、特定非営利活動法人大崎ものづくりネットワーク振興会鹿児島大学大崎活性化センターからご協力頂いて実施しています。)

午前中は大崎町を探索しました。午後からは、有限会社そおリサイクルセンターの松井さんから、住民参加型の低コスト・資源循環型廃棄物処理システム(大崎システム)のインドネシア移転事業についてお話をうかがいました。

 参加した学生からは以下のような感想が寄せられました。

学生A
午前中は実際に大崎町の住民の方にインタビューを行いました。

なかなか住民の方に話を聞くのは難しく、実践をもっと積む必要があるなと感じました。住民の方の話では、ゴミのリサイクルは大変だと感じている人は多かったですが、それがすでに日常化しており、日常化させることが重要であると感じました。しかし、ゴミの分別が大変という理由から空き地などに捨てていく人もいるということを聞きました。リサイクルの街であるため、こういったことはないと思っていましたが、厳しいことでこのような実情もあることを知りました。このゴミは一体どのようにして処理されているのか疑問に感じました。また、空き家が多いことに対する対応もどのようなものがあるか気になりました。空き家バンクなど利用可能なものも多いですが、ほかにもっと対策を調べてみたいと思いました。

午後からはそおリサイクルセンターの松井さんに話を聞くことができました。ジャカルタで行われているシステムの実戦は一筋縄ではいかないものだと感じました。文化や考え方が異なるため、同じ感覚で話を進めることが難しいと感じました。リサイクルをすることによって雇用を増やすという考えは持っておらず、新たな発見となりました。ウエストピッカーの方に対して、一時的に仕事は無くなってしまうかもしれないが、将来的には安定した職に就くことができるような環境作りが大切であると思いました。話が大きくて、難しい部分も多かったですが、小さな街が大都市に支援をするということはとても興味があり、今後もどうなっていくのか調べたいと思いました。

学生B
午前中は散策をしましたが、インタビューをするという事が今まであまり無かったので、やる前はとても緊張しました。あまり人がいなくて、どうなる事かと思いましたが、主に年配の方々からお話を伺うことができました。今まで、資料を見たり行政、衛生自治会の方々からお話を聞いてきましたが、実際にごみ捨ての場所がどのようになっているのか見ることが出来たことで、今までのお話をもっと具体的に想像することができるようになったと思います。街の人にインタビューする中で、自分の人から話を聞き出す能力が足りないことに気が付きました。失礼のないようにしっかり名乗ってから話を聞くべきだと思いましたが、実際にやってみると形式的なインタビューの入り方では断られてしまうことも多く、インタビューの難しさを感じました。先に簡単な質問をして話に入る方がインタビューしやすいと思いました。

午後からのお話の中で南ジャカルタでの大崎システムの導入についての話を伺いました。スラムやゴミを拾って生計を立てている人達についての話もありました。また、ゴミのリサイクルを浸透させて行く中で、少ないリサイクルの分け方から徐々に数を増やして行く方が、リサイクルがどんどんできるようになるのではないかと思っていましたが、大崎町でリサイクルの分別数を増やす際に、分別を増やしていくのは大変だったというお話があり、最初は大変でも、最初から多く分けるようにしているほうがいいのだと分かりました。富裕層が多くメイドさんも多いとの事でしたが、ゴミの仕分けがそういった人々だけがやることになるのではなく、全ての人が主体的に取り組んでいくことに繋げることが必要であると感じました。

学生C
今回は午前に町内探索と午後にそおリサイクルセンターの松井さんにお話を伺いました。

町内探索では4名の方にお話を聞くことができました。いずれも80~90代の方でした。ゴミ捨て場について案内してもらい、ゴミの種類によって捨てる場所が異なっていること、ゴミ捨て場には係の人が同席していること、正直分別はめんどくさいが、町の誇りとして思っていることなどをヒアリングできました。また、少しゴミとずれて気になったのが高齢者の方の孤独感のようなものでした。若者や他の人の迷惑になるから、とサークル活動をやめてしまったり公共交通機関を使えなかったりと自分に負担をかけてしまっているところに少し危うさのようなものを感じてしまいました。その気になれば1年間人と話さなくても過ごせると話している方もいて、せっかくゴミ出しによる人との触れ合いもあるのでどうにかその部分にも少し踏み込んではみれないかな、と感じました。

宮下さんが話してくださった空き家を拠点とできるようなお話が非常に興味深かったのでまた機会が有ればお話伺いたいです。
午後のお話では南ジャカルタでのゴミリサイクルについての話を中心に伺いました。所得水準が高いところである分、スラムの存在やウェストピッカーの存在もあるようでしたが、ゴミのリサイクルによって雇用創出や金銭的な負担軽減も担うことが出来るということで、それをどう周知させていくのかというところが重要に感じました。あくまで管理による強制ではなく、住民の主体性による取り組みの可能性はもちろん、難しさを考えさせられた。

自分も行政職員を目指しているが、このゴミのリサイクルというのは取りかかりへのハードルも比較的低く、その上効果が大きいという特徴を持ち、これからの日本に特に必要なものだと感じた。是非就職がうまく行ったらその地域で取り組みを進めていきたいと感じた。