社会学ゼミが学術交流協定校とオンライン国際交流ゼミ

教員:
2021.2.8

2021年1月21日の午後4時10分から、法文学部の片桐資津子教授が担当する社会学ゼミは、本学の大学間学術交流協定校である湖南農業大学(中国湖南省長沙市)の学生らとZoom国際交流ゼミを開催しました。このオンラインゼミは、湖南農業大学人文外国語学院日本語学部で専任講師を務める何環先生のご協力により実現しました。

今回、社会学を学ぶゼミ生7人は、中国の学生7人とともに次のような流れで日本語で話し合いました。第Ⅰ部では、小集団ディスカッション、第Ⅱ部では全体ディスカッション。テーマは「デジタル社会におけるプライバシーと地方在住の若者的幸福感を考える」。

短縮版は、リンク先のページ(鹿児島大学公式ウェブサイト)をご覧ください。

第Ⅰ部では、まず冒頭で簡単な自己紹介。つぎにZoomのブレイクルーム機能を使って、以下に示したように、7つの小グループにわかれて、それぞれ関心のあるテーマについて話し合いました。中国の学生からは話し合いたいテーマとして、オンライン詐欺、オンライン授業、オンライン・ショッピングの3つが事前に提案されました。それ以外の4つのテーマは、ゼミ生が準備段階で考えました。

  • ①オンライン詐欺

  • ②オンライン旅行

  • ③オンライン・ゲーム

  • ④オンライン・ライブ

  • ⑤オンライン恋愛

  • ⑥オンライン授業

  • ⑦オンライン・ショッピング

各グループで話し合った内容は全員で共有されました。たとえば、オンライン詐欺の被害にあわないためにどんな対策をとっているか、オンライン・ゲームに熱中する人の性別や課金状況はどうなっているか、オンライン恋愛はアリかナシか、オンライン授業でカンニングを防ぐために大学ではどのような工夫がなされているか等、それぞれのトピックについて、日中比較により共通点と相違点が話し合われました。


第Ⅱ部では、2つのテーマで全体討論を行いました。

1つ目のテーマは「デジタル社会のプライバシー」。司会を務めたのは木村美穂さん(2年)でした。便利さとプライバシー保護を比べた場合、どちらを重視するかという問題提起からディスカッションが始まりました。そのなかで、大企業への情報提供は信頼できるか否か、画像認識技術の著しい発展により個人が何気なくSNSに投稿した画像からプライバシーが漏洩する危険性もあるのではないか等の質問や意見が出されました。

もう1つのテーマは「デジタル社会における地方在住の若者的幸福感」で、司会は安部健太さん(3年)が務めました。まずは都市と地方のどちらに住みたいかという問いからスタート。両国の学生たちは都市に住みたいという意見でほぼ一致。続いて、デジタル社会であるとしてもやはり都市に住みたいかという話へと発展しました。最終的には、デジタル社会での若者の幸福感は、詐欺やプライバシーの漏洩に気をつけたうえで、昔の同級生とスマホで再び交流し始めたり、SNSで新しい友達を作ったり、海外の友人と関係を維持したり……という,時間と空間を行き来するような多様なつながりのあり方に現れていることがわかりました。


参加した学生からはつぎのようなメッセージが寄せられました。

とても楽しい2時間でした。実は、ゼミが始まる前はずっと緊張していました。でも日本人の学生達が優しく話を聞いてくれて、わかりやすく話してくれたため、緊張が解消できて、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。

中国の学生とのペア討論のとき、オンライン授業の近況を語り合いました。中国の大学のテストは全面オンラインで、学生がカンニングできないようにするため使用したアプリの記録が残るそうです。身近な話題を語り合うことにより自分の価値観がさらに広がりました。

デジタル設備が整っている都市は、豊かな生活を求める若者に人気があります。しかし、都市生活はストレスが大きいので、高齢者は地方に行ってのんびりと暮らしたいと思うようです。今は地方もデジタル設備が完備されています。地方暮らしを幸せだと感じる若者も多いはずです。今回の国際交流ゼミはとても活発でした。

私は司会を務めたのですが、中国の学生が熱心に応えてくれて嬉しかったです。討論のなかで確かに中国の方がプライバシーに寛容であるような印象を受けましたが、しかし彼らはデータ流出の危険性をきちんと認識していました。オンラインのサービスを利用する際は、相手を信用して大丈夫なのか、意図せぬ形で自ら個人情報を発信していないかということに注意する必要があることを学びました。

今回の国際交流ゼミに参加し、小集団でディスカッションしたことで、中国と日本とのソーシャルゲームに対する意識が男女で大きく違うことに驚きました。また私がディスカッションした相手はデジタル絵画が上手でスゴイなと思いました。

画像:羅夢さん制作
画像:寳來汐音さん制作

後日、絵を描くのが得意な学生たちに依頼して、国際交流ゼミの様子をデジタル画像で表現してもらいました。ほかにも個性的なアニメーションも描いてくれました。

デジタル機器を使ってデジタル社会についてディスカッションを行い、デジタル絵画でその様子を報告してもらうということで、デジタルづくしで有意義な国際交流になりました。学生たちがデジタルコミュニケーション力を高め、かつ知的刺激が得られるような、そんな国際交流を今後も続けていきます。