宮崎北高等学校で出前授業
2019年6月8日(土)午前10時00分、片桐教授が宮崎県立宮崎北高等学校で出前授業をおこないました。受講者数は1年生42人、2年生37人、3年生10人の合計89人で、授業のテーマは「人口減少とどう向き合うか」でした。日本はなぜ人口減少しているのか。地方の小さな村は人口減少にどう向き合ってきたのか――。限界集落と小中学校の統廃合に注目して、この問題を生徒たちと一緒に考えました。
なお、本授業は「準限界集落化する存続集落の統廃合の困難」(北海道社会学会編『現代社会学研究』22: 17-33頁, 2009年)という論文の研究成果の一部です。
生徒たちに1回目のグループ討議の課題として「あなたは高校生としてどんなときに人口減少を感じますか」と質問しました。「小学校のクラスの人数が減ったとき」「農家の後継者がいないとき」「高校の定員が減少したとき」と答えてくれました。さらに2回目のグループ討論の課題として「あなたは両親や祖父母から何を継承しますか」と聞いたところ、つぎのような答えが返ってきました。
・家、土地、財産
・お墓
・農業
・仕事(父の技術)
・名字
・方言
・知恵
・おふくろの味(カレー、梅ジュース)
・祖母のレシピ
・郷土料理(チキン南蛮のタレ、冷や汁)
・我が家独自の言葉、決まり事、行事
・祖父の釣り技術
・経営している飲食店(本音を語れる特別な場所として)
・未来への希望と愛
生徒たちの感想文のなかには、つぎのようなものがありました(一部抜粋)。
人口減少が「何が原因で起こるのか」は何となく分かっていたが、「その原因がなぜ起こるのか」については全く知らなかったのですが、今回の講義を聞いて、事細やかに知れました。……(2年生・Gさん)。
今日の講演を受けて人口減少に対する関心が今までと比べて大きくなりました。人口減少の理由は高齢化ではなく少子化のためでした。……(中略)……少子化によって限界集落を増やす前に今日学んだことをどうにか多くの人に知ってもらい、この問題を解決したいです」(1年生・Sさん)。
私は最近人口が減っているなあとか考えたりすることがありませんでした。しかし講義の後でよく考えてみると、学年が低くなるにつれて受験募集人数が減ったりしていたり、空き家が増えたりしているなあと感じました。……(中略)……地域のために地元に残って自分の夢をあきらめるかと考えると嫌だと感じるし、地元の集落が消滅して母校もなくなったり、思い出が消え去ったりするのも嫌だと感じます。そう考えると少子高齢化はとても難しい問題だと思いました。……(1年生・Yさん)。