大学生コンサルティング事業発表会を開催
法経社会学科経済コース馬場研究室では、2022年度より「大学連携による繁盛店づくりコンサルティング事業」に取り組んでおります。二年度目となる2023年度の最終発表会が12月15日にかごしま国際交流センターの多目的ホールで開催されました。
大学連携による繁盛店づくりコンサルティング事業は、鹿児島大学の学生が鹿児島市の事業者にマーケティングプランを提案する産官学連携事業です。本事業を通じて、鹿児島市に新たな事業の創出や産業の振興、およびマネジメント人材の育成という地域に資する価値を創造することを目指しております。
2023年度は、旬鮮館(森 成安 様)、コンディショニングジムTRY(永田 慶子 様)、HALU(上妻 昇志 様)の協力を得て、5月より本事業に取り組んでまいりました。
本事業では、馬場研究室2・3年生の19名の学生が参加しました。参加学生は、事業所現地での視察や経営層への聞き取り調査、および学生自らによるユーザー体験や顧客への聞き取り調査など丁寧な現状調査を実施してきました。事業者の皆様のご協力のもと、経営の現状を把握した上で、問題解決思考とマーケティングマネジメントの知識をベースに問題を発見し、解決策であるマーケティングプランを考案しております。
最終発表会では、ゲストコメンテーターの新徳 博幸 様(株式会社さくら優和コンサルタント 代表取締役社長)、浅井 南 様(わるだくみ 代表)より丁寧なフィードバックをいただきました。また、事業者の皆様および鹿児島市、鹿児島市内の通り会の皆様より多くのコメントもいただきました。事業者の皆様と鹿児島市には実践的なマネジメント教育の場を提供していただきました。ここに深く感謝申し上げます。
学生の振り返りのコメントをいくつか紹介します。
3年生
私のグループは顧客との関係性の構築に着目したマーケティングプランだったため、説明を簡潔にまとめることが難しく、またスライドで分かりやすく表現することも大変だった。初めて聞く人にも分かりやすいように、プレゼンのイラストと話している言葉が食い違うことがないように心掛けた。発表では少し早口になったり、事前に考えていた伝えたい事を全て伝えることができなかったりと少し後悔が残る発表となり、質疑応答の時間に案についての改善点も指摘されたが、「スライドが良かったよ」「発想が面白い」「実現可能性がある」といった反応も頂くことができ、達成感を感じることができた。 今回のコンサルティング事業は、自分の成長を感じることができた。グループ活動を行う上で自分自身と向き合うこともでき、意識の共有や言語化の重要性も知ることができた。今年も貴重な経験をさせていただくことができ、やはりコンサルティング事業は学ぶことが多いと改めて感じた。
3年生
今回のコンサルティング事業では、「実現可能性が高いマーケティングプランの提案」を目標として掲げていた。昨年度は、プランの斬新さは評価していただくことができたものの、実施にかかる費用や人手不足の面から実際に取り組んでいただくことができなかった。数々のプランを考案しては頓挫することの繰り返しで、ようやくたどり着いたプランだっただけあってとても悔しかった。一方で、ただ提案するだけでは不十分で実施されてはじめて意味を持つということに気が付いた。そのため今回のプランでは、実現可能性が高いプランを提案し、実際に取り組んでいただくということを意識した。事業者の方々が自走できる内容にするために、自分たちがいないとできないようなSNSでの情報発信に注力することは避け、これまで事業者が行ってきた情報発信の仕方やイベントの内容を参考にしながら、無理のない範囲で取り組むことができるプランにした。
大学生らしい斬新なアイデアかつ、実現可能性の高いプランの考案には苦戦したが、最終発表では事業者の方から「前向きにプランの導入を検討したい」という意見をいただくことができ、目標を達成することができたと感じている。
2年生
最終発表後のフィードバックでは、実現可能性を考えた時に、自分たちの中では十分可能であるという結論であったのが、様々な立場の方の話を聞くことでより具体的にイメージすることができ、コストの面でのハードルなどまだまだ超えるべき壁があることが分かった。反省点として、もっと詳細について詰めるべきだったと感じた。また、初見の方にも伝わる話をするということはとても難しく、プレゼンテーションという面でも、もっと改善すべきだと感じた。一番良かった、説得力があったという言葉もいただいてとても嬉しかった。同じプレゼンを聞いても、どこに興味を持ってくれたか、どこが伝わってどこが伝わらなかったなどは聞き手によって異なるということを痛感した。 全体として、私の中では、「伝える」ということが一番高い壁だったと感じる。チーム内で自分の考えを共有するときも、チームでの発表でも、伝わらないもどかしさをずっと感じていた。これはこれからの私自身の課題として向き合い、自分の成長につなげていきたい。
2年生
チームでの作業に関して最初から最後まで難しいと感じ続けた点は、考えがすれ違っていないか確認し、方向性を合わせていくことです。一方で、ぶつかり合うことなく基本的に和やかな雰囲気で活動できたチームであり、段々と意見交換や役割分担の仕方を確立していけたことは、良かった点です。 個人的に全体を通して難しかった点は、理論に沿わせてプランを組み立てていくことと、複雑な内容を伝える発表を作ることです。最初と比較すると、これらの方法はコンサル事業を通して身につきつつあると感じます。しかし、現状分析とアイデアを出すことは苦手なままであるため、今後の課題です。 興味深かった点は、事業者さんの感覚的意見や考えと、学んできた理論的な話がリンクすることが多くあったということです。実際に足を運んでお店を見て、事業者さんの話を聞くことでしかわからなかったことばかりであり、貴重な学びとなりました。