自治体政策論ゼミで日南市の「地方創生」の取組を学びました

教員:
2022.11.11

自治体政策論ゼミでは、「地方創生」の成功事例として取り上げられることが多い宮崎県日南市の取組を、現地を訪問して学習しました。

日南市では、日本の他の地域と同様、若年人口の流出や高齢化といった課題を抱えていますが、空き店舗が多かった油津商店街の活性化やIT企業の誘致による雇用創出といった取組を進め、「地方創生」の先進地域として注目されています。

ゼミでは、現地訪問前に「観光」、「雇用」、「交通」等の分野ごとに、データや文献を参考に事前調査を行いました。現地では、行政の取組をマーケティング専門官として主導した田鹿倫基(ともき)氏、油津商店街で商店街振興の様々な仕掛けを行っている(株)油津商店街の島中星輝社長から、これまでの経緯、取組を行うにあたって苦労した点、今後の課題等についてご講義をいただきました。

事前調査と現地での学習を組み合わせることで、「地方創生」の現状・課題について実践的に学習することができました。

学生の感想

田鹿さんのお話を聞いて印象に残ったのはEBPM(データに基づく政策立案)の重要性について。イメージが先行しやすい地域活性化において、データに基づいて分析し、地域の欠点を補う方法は非常に評価できる点だった。それとともに、データに基づいて分析するだけでなく、地域の人々との信頼関係を構築することももちろん大事であるという話を聞き、やはり人と人との問題であるため、コミュニケーションとか信頼関係は大事だと感じた。

田鹿さんのお話では「理想と現実の問題のギャップ」や「相関関係と因果関係は違う」といった内容が印象に残っている。具体的なタスクを明確にするために課題を分けて考えること、見せかけの要因に気を付けることなど多くの学びを得ることができた。

島中さんのお話を聞いて考えたことは、若い力が町の持続的なにぎわい創出には必要不可欠ということである。高校生がアイデアを出して完成した多世代交流モールやアンブレラスカイ、大学生が経営に携わった「fan aburatsu」などの事例が挙げられた。住民の方が、若者の意見を受け入れる体制があったことも大きかったのではないかと感じた。

島中さんの講話を受け、これからの商店街は必要な機能を備えるのではなく、進化し続けることが大切だという言葉が印象に残った。ただ企業を誘致するだけでは持続性のある街にはならない。企業や事業主が関わりたくなる場や空気感をつくることが進化し続けるということなのだと理解した。そして、商店街の課題を解決し再生することが目的ではなく、地域の課題を解決することが目指されていることに気付くことができた。