鹿児島県で弁護士として活躍されている川畑久怜葉さん

卒業生
2023.4.7

川畑さんのプロフィール

2015年に法文学部法政策学科(現:法経社会学科法学コース)を卒業。名古屋大学法科大学院修了後、2019年に司法試験合格。司法修習を経て、現在は鹿児島県内で弁護士として活躍されています。

1.弁護士という職業について

Q1.普段どのような仕事をされていますか?

離婚、交通事故、自己破産、刑事事件、企業の法務相談を行っております。
離婚事件は、離婚の条件や、離婚が成立するまでの問題(生活費、面会交流)の協議を取り扱います。
交通事故は、当事者同士で事故態様や過失割合に争いがある場合に保険会社と交渉をしたり、裁判で主張立証を行います。自己破産は、返済ができなくなった方の負債総額や財産(自動車、保険、相続財産などの有無及び金額)を調査の上明らかにし、今後の生活を再建します。刑事事件は、被疑者に対し取調べ上の助言や、身柄解放活動(準抗告、保釈請求)、適切な処遇に向けた活動(被害者との示談交渉、情状証人の確保など)を行います。法務相談としては、契約書のレビュー、未払賃金や解雇といった雇用関係に関する助言などを取り扱っています。
上記の事件に共通して、裁判業務では裁判に提出する書面の作成を行い、裁判例・判例や関連する文献の調査を行います。


Q2.仕事で気を付けていることはありますか?

相談者や依頼者とのコミュニケーションにおいては、意識を持って丁重に接することを心掛けています。
また、結果だけでなく、その結果に至る過程の業務も大切だと考えています。例えば、裁判の進捗について迅速にメールや書面にて報告します。また、事務所のラインワークス、メール、電話など多くのツールを使い、伝達内容に応じて依頼者とのコミュニケーションをとれるよう心掛けております。

2.弁護士になるまで

Q3.弁護士を目指したきっかけは何ですか?

最初のきっかけは鹿児島大学での講義です。講義を受ける中で、法律を使って問題を解決するということに魅力を感じるようになりました。
学部生の頃は漠然と弁護士になりたいと考えていたのですが、司法試験に合格し、司法修習生時代*には裁判所、検察庁、法律事務所で生の現場での研修を受けるにつれ、弁護士は、依頼者との信頼関係を持ち、身近で最も事実を知ることができる良い仕事だと感じるようになりました。

*司法修習:司法試験に合格した後、裁判所・検察庁・法律事務所などで実際の仕事に必要な教育を受けること。司法修習を修了すると、法曹(裁判官・検察官・弁護士)になる資格が与えられる。


Q4.弁護士は難しい職業というイメージを持たれがちです。先生はどういった心持ちで弁護士を目指していましたか?

司法試験の受験勉強中、本当に弁護士になれるのだろうかと不安や葛藤の時間が多くありました。しかし、勉強をして司法試験に合格することでしかこの不安を取り除くことはできないと考え、日々勉強に励むように心掛けていました。
鹿児島大学では、弁護士の先生方と接する機会が多く、実務家から直接受験勉強や実務について話を聞くことができる環境が整っていました。
当時私が所属していたゼミでは、弁護士の先生から講義や答案の添削をしていただきました。また、県外の法科大学院(ロースクール)*の説明会が鹿児島大学でも開催され、ロースクール生活や学習方法についてイメージを持つことができました。
これらの機会を通じて弁護士という職業を身近に感じ、勉強を頑張ろうという気持ちになりました。

*法科大学院(ロースクール):法曹を養成するための教育を行う専門職大学院のこと。法科大学院の修了又は司法試験予備試験の合格によって、司法試験の受験資格を得ることができる。なお、令和5年から、法科大学院在学中であっても一定の要件(所定の単位の取得等)を満たした者については司法試験を受験できるようになった。


Q5.学生時代にしてよかったこと、また、しておけばよかったと後悔したことはありますか?

毎年、九州弁護士連合会が主催する「九弁連サマーセミナー」が鹿児島大学内で福岡から中継する方法で行われており、九州県内で活躍する弁護士の先生方の講演を聞くことができました。
学部時代の勉強は、基本書を読むといったインプットの比重が大きく、アウトプットの機会が少なくなりがちでした。そのため、問題集を通じて文章を書く練習をしたほうがよかったことを後悔しています。また、法学検定の過去問などのマーク式の問題にも日頃から取組み、アウトプットの機会を増やしておくべきだったと思います。

3.最後に

Q6.これからの目標や理想の弁護士像について教えてください。

依頼者はもちろんのこと、裁判官や検察官、同業者からも信頼される弁護士になりたいと思っています。そのために、一つ一つの事件を丁寧に、そして正確にやり遂げることを意識しつつ、日々仕事に取り組んでいます。当然一朝一夕で成し遂げられるようなことではないので、これからも多くの勉強や経験を積み重ねていこうと考えています。


Q7.法曹を目指す学生に一言お願いします。

挑戦する前から、「自分には無理だ」と判断してしまうと、自分の成長に繋がらない気がします。一度決めたことを貫徹する必要はありませんし、途中で違和感を持ったらやめればいいという気軽な心構えを持っていてもいいと思っています。
また、弁護士に限らず、夢を目指すタイミングには遅すぎることはないと思います。例えば、私のように大学に進学してからから決意する人もいるし、卒業して社会人になってから目指し夢を叶える人もいます。
自分で自分の限界を決めたりせず、やりたいと思う気持ちを大事にして、色んなことに挑戦してほしいです。


この記事は私たちが川畑弁護士にインタビューをして作成しました。
白石 愛里彩
竹之下 卓也
本山 愛子
(令和4年度法学コース刑法ゼミ)