大崎町で地域日本語教室を開催(9)(10)

教員:
2023.12.27

12月10日(日)ならびに12月17日(日)午前に大崎町中央公民館で地域日本語教室を実施しました。本事業は大崎町から受託した「日本語教室を軸とした多文化共生拠点構築事業」により実施しています。
来年は以下の日程で実施予定です。

  • 日時:1月14日、28日 ・2月11日、25日の10:30-12:00

  • 場所:大崎町中央公民館

関心がある方は是非ご連絡ください。
sakai@leh.kagoshima-u.ac.jp

12/10の振り返り

山下先生
学習者:8名(フィリピン、インドネシア、タイ)
サポーター:学生6名

今回のトピックは「クリスマスパーティーの準備」でCan-doは以下の2つを考えて実施。
①友達とメニューについて話し合える
②必要な材料や調味料とその分量について話し、書くことができる
元々料理が得意な学習者はどんどん話が進み、材料もスマホで日本語を探しながらスラスラと書いていた。今回の山場は材料の分量をどのようにこちらに提示するかだと考えていたが、これは的中。みんなキロ単位やpackで書くので、うまく分量がこちらに伝わらない。そこで一つ一つ、パックに何個入っているのか、にんにくなどもかけらなのか丸ごとなのかなど、一緒に確認していった。このやりとりはとても楽しく学習者も日本語・英語を混ぜ、知識をフル回転させながら話してくれた。正に「複言語能力」を生かした時間だったなと感じる。また、今回は学生さんが参加してくれたことで、いつもよりも声も大きくにぎやかだった。料理の準備ができたところで、学生さんとのインタビューがスタート。学生さんたちにとっても彼らの食文化や言語能力、伝え方、学習者の生活背景など様々な側面で学ぶことが多かったのではないかと思う。また、ある学習者が「質問はわかる。でも考えを日本語で話すのが難しい」ということだった。伝えたいことはたくさんあるが、日本語でうまく言えないもどかしさがあるようだった。彼らは日本語で話すのが難しいだけで、自立・自律した大人であり、私たち以上にいろいろな考えを持っているだろう。そういう思いに寄り添ってじっくり耳を傾け、学習者との対話も大切にしていきたいと改めて実感した。彼らが持っている考えをうまく日本語で引き出せるような学びを今後も追究していきたい。
次回はクリスマスパーティー。彼らの得意なことが見られるので、とても楽しみである。

田中さん
今回の日本語教室は、前半で次回の日本語教室で作る料理決めとその際に使う材料を書き出す作業をし、後半で酒井ゼミの学生によるインタビューの時間があった。
前半について、野菜や材料の単位の言い方や日本語での呼び方を日本語を交えながら決めていったが、改めて日本語の助数詞を難しく思った。他にも、普段使っている材料でも日本語で言う場合は時間を有するが、スーパーで見たり読む分にはスムーズに行えていることが想像できた。
後半では、酒井ゼミの学生がやさしい日本語や英語、グーグル翻訳を活用してインタビューをした。インタビューや話している様子から色々と考えさせられる部分も多く、やさしい日本語とは何なのか、伝える伝わる日本語/姿勢はどういったものか、”日本語教室”でのインタビューの様子をインタビューの手伝いをもしながら客観的にも見れていたと感じる。日本語教室で日本語が話されない状況を見かけることが少なからずあるが、それが日本語を学びにきた人たちのためにならないのではと考える一方、それが私自身のエゴでないかと思いもした。
今回印象的だったのが、私が日本語能力が高いと思っている学習者にインタビューをした学生が、あまり日本語が通じなかったのように言い、日本語を使わないインタビューをしたと聞いたことだった。こちらについては大変驚いた点でもある。加え、インタビューの質問項目でも「ここをつくのか」と大変興味深かった。

12/17の振り返り

山下先生
学習者:10名
サポーター:学生2名

年内最後の日本語教室は、学習者の国の料理を作って紹介しみんなで試食することで締め括った。
フィリピン、インドネシア、タイ、ブラジルの料理/デザートを作ってもらった。みんな手際がよく、作りながら楽しそうに話したり、他のグループのところに行って「これ何?おいしそう」と声を掛けたり、写真や動画を撮ったりと、作る間もにぎやかで楽しい雰囲気が溢れていた。ガスがつかない、材料の追加、ご飯が必要など小さなハプニングはあったものの、無事料理が完成。料理を紹介する時間には、お互い大きい拍手を送り、冗談も言いながら、いつの間にかすっかりみんな同じ空間に溶け込んでいた。どの料理もとてもおいしく、お腹も心も満たされた時間だった。
今回、普段の日本語学習の時間では見られない学習者の姿を見ることができた。勉強している時は、国を超えて横につながることが難しいのかなと考えていたが、そんな心配は全く不要であった。人とつながるのはことばだけではないのだなと改めて感じた。今回は「料理」がつながる手段となり、終始みんな笑顔で、最後もお互いに手を振って帰って行った。
日本語教室がスタートし、この日まで、学習者やサポーターから多くの気付きと学びが得られた。まだまだ改善の余地があるが、日本語教室の意義を再確認することができた時間であった。学習者をはじめ、ご尽力いただいた皆様に心から感謝したい。そして、来年も日々邁進していこうと決意。

田中さん
今回の日本語教室は、学習者がそれぞれの国の料理を作って振る舞ったクリスマス会だった。
私は主にインドネシアの料理作りを手伝った。一緒に料理を作った学習者が母国語と日本語を使いながら料理をしていたことが印象に残っている。また、普段の日本語教室では見られない一面が多く見られた会でもあった。
インドネシアは他の国と比べ料理を作り終わるのが遅くなった。しかしかながら、他の国の学習者が手伝いにきてくれたおかげで、協力して料理作りを終え宅に並べることができた。この光景を見て私は、初め学習者が日本語教室にきたときの距離感を思い出した。卓上での学習では、同じ国の学習者で集まりがちである。しかしながら今回は国も関係なく、自らで動き、話しかけたり助け合う光景をみることができ、約半年でこのように変化するのだなと感じた。
それぞれの国の料理を食べる前に、学習者が自身の国の料理を紹介した。料理を食べる時も所属する会社や国を超えた関わりが垣間見え、話も盛り上がっていた様子だった。片付けの時も協力し合ったおかげで素早く終わることができた。
私も経験したことがあるように、語学学習は卓上だけでない。今回の経験が日本語を学んだり他の人達と仲良くなったり、思い出としても話すきっかけになれればと思った。

SATOさん
12月17日(日)、今年の最後の大崎町日本語教室だった。通常のクラスではなく、料理教室を行った。フィリピン人、タイ人、インドネシア人、そしてブラジル人の学習者が4つのグループに分かれて、それぞれの出身国の料理を作った。コンロの火がつかないなど、予期せぬトラブルもあったが、最終的にはみんなが笑いながら料理を楽しんで上手に仕上がり、大成功だったと思う。私はブラジルの伝統的なチョコレート菓子である「ブリガデイロ」を作ってみた。年の最後のクラスでは非常に美味しい料理を楽しめ、多くの学びと笑いに満ちた素晴らしい時間だった。