大崎町で地域日本語教室を開催(8)(9)

教員:
2023.12.8

11月5日(日)ならびに11月26日(日)午前に大崎町中央公民館で地域日本語教室を実施しました。
本事業は大崎町から受託した「日本語教室を軸とした多文化共生拠点構築事業」により実施しています。

11月5日(日)の感想

山下先生の感想
11月5日(日) 学習者:5人(新規:1名-タイ)
今回はJ-TESTの試験日と重なり、一部の学習者は試験を受けるために福岡へ。健闘を祈りながら、他の学習者と日本語学習をスタート。
少人数ということもあり、新しい試みをやってみた。「町の中の漢字を探そう!」ということで、町に繰り出し、約30分かけて、町の中やスーパーで見かける漢字の写真を撮ってきてもらった。その後、みんなでシェアして確認した。町の中にはいろいろな漢字が転がっているが、分からないから素通りしていることが多い。「半額」や「2割引」などお得な情報も見逃していることに気付き、もったいないなと感じる。漢字は「大変なもの」ではなく、分かれば「お得なことがある」ということに気付けることが今回の目標であったので、それは達成できただろう。みんなやはりお得な情報は覚えたいとのことだった。また、長く在住している学習者は「その漢字を書くんだ~」と知識と文字がつながった瞬間であったようだ。
課題としては、外の活動を取り入れると時間調整が難しく、自分たちで考えたり気付いたり調べたりする時間を十分に取れないことがある。今後も、生活に密着した学び+(試験でも)役に立つ必要な言語知識をバランスよく取り入れた内容にしていきたい。

学習支援の田中さん(法経社会学科地域社会コース)の感想
今回は地域に出て町の中にある「漢字」を写真に撮り、その撮った漢字を学ぶという外に出た活動だった。近くのスーパーをまわったり地域の商店街を歩いたりする等話しながらのアクティビティは私にとって新しく楽しくもあった。今回は今までの教室と比べ、「生活者としての日本語」を学ぶ機会だったと感じる。印象に残ったことは、スーパーの中にある漢字で「半額」を把握していなかったことだ。確かに、この漢字を知らなくても日常生活に大きな支障をきたすことはないだろう。だが、学習している言語の地域に住むといった学習者にとって日常が学ぶ場ということを思うと、身近な疑問や違和感をそのままにせず、調べたり気軽に聞けたりでき(る場・環境があ)ればより日本語能力が向上しそうだと思った。

11月26日(日)の感想

山下先生の感想
11月26日(日)学習者:8名 今回は「おすすめの観光地」をトピックにして学習を進めた。スキーマづくりとして「大崎町のおすすめのところ」を聞くとフィリピンの学習者が「アスパル」という温泉を教えてくれた。インドネシアの学習者はあまり出かける機会がないのか「ダイワ」とスーパーをあげてくれ、みんなで和気あいあいとスタートした。
その後、会話例を聞きどんな話か確認して、観光地がどんなところなのか形容詞で説明するところに注目した。「きれいです。おもしろいです。楽しいです」という文を一文にするのだが、名詞と同様に「きれいとおもしろいと楽しい」と言うケースが多い。それを伝えると笑っている学習者もおりやはり実際にそのように使っているようであった。相手には通じるけれども、化石化してしまう前に一緒にもっとよい表現を学んで使えることにこの日本語教室の一つの意義があるのだろうなと考えた瞬間だった。
観光地はよく話すので、その中でも「デートスポット」と限定してみたが、どのペアもいろんな話や質問が出てきた様子だった。自治体職員と大学生がサポートに加わっているが、学習者との接し方や話し方に確実に変化が出てきたのが手にとるようにわかる。勉強したことをうまく使えなくても、相手にどうやったら伝わるかということを(自分や日本人も含め)一人ひとりが考えて話すことが大切であり、多文化共生社会を目指すにあたって大切な視点であること、毎回はっとさせられる時間である。

学習支援のSATOさん(法経社会学科地域社会コース)の感想
11月26日(日)大崎町で日本語教室が行われた。前半は私と学習支援者の田中まきさんが日本語で録音したシミュレーション会話の聴解練習を行なった。学習者は聞き取れるように、空き穴の所を記入したり読んだり何度も録音を聞かせた。
全体的のテーマはデートスポットのおすすめな場所で、授業後半は学習者は母国での理想的なデートスポットをサポーターに紹介しながら、文法のポイントとして形容詞の接続方法に焦点を当てた。とても面白くクリエイティブなアイディアがいくつかあった。各学習者が独自の提案を発表し、国の文化や風景について共有できる良い機会となった。
日本語を学ぶなかで、文法だけでなく、実際に使うことの楽しさや実用性を実感してくれたようで、私もサポーターとして非常に嬉しく感じた。
大崎町でのこの経験は、山下先生、学習者とサポーターたちと共に学び合いながら、日本語教育において新しい方法を模索する素晴らしい機会となった。

大崎町での日本語教室に関心がある方や現地で日本語を学びたい方はいつでもご連絡ください。