小栗ゼミ 夏の調査実習で喜界島を訪問
小栗ゼミ(地域社会コース)14名は、9月10日~12日に喜界島にて3日間の調査実習を行いました。日頃のゼミ活動では、地域の自然や文化などの固有の資源を活かした持続可能な地域づくりについて、社会教育学の観点から、地域住民の対話よって気づきや学びが生まれ、主体的に地域について考える機会につながる学習空間に注目して探求を行っています。
今回の調査実習では、テーマを「喜界島の未来をつくる『仕事・地域・家庭』における学び合いの場の現状と課題~島の資源の生かし方に注目して~」と設定し、調査方法として、産業・社会教育(大人の学び合い)・子ども(学校教育)という3つの観点で多様な職種と年代の115名の方々にヒアリングを行いました。現状としてどのような自然、文化、歴史の元に地域が成り立っているのか理解し、それを基盤に住民の方々が営む仕事・地域・家庭における暮らしを知り、その中で地域に対して持つ認識やニーズについて明らかにすることを目的としています。
ヒアリングや集落の伝統行事に参加する中で、世界有数のサンゴ礁の隆起によって形成された大地が育む固有の農産物や自然、その土壌が生んだ歴史や文化に触れることができました。現在ジオパーク登録に向けた取り組みがなされており、地域の資源を島外に向けて発信し、観光化を進めると共に、島内に向けても地元の資源を活かした学びの機会を創ることで地域への眼差しを強め、世代を超えた資源の継承に取り組んでいることを学びました。
調査をする中で学問としての探求心が掻き立てられただけでなく、島の方々が紡ぐ言葉から、学問を超えて、地域で生きる生活者として自分自身の考え方や生き方を問い直す機会を多くもらいました。お話くださった方々の紡ぐ言葉の一つひとつに重みがあり、自然や文化だけでなく島の方に根付いている土着的な価値観そのものも島の資源であるのだと感じました。特に、島の方々の、自分たちが生きる地域の土台や自然環境、歴史や文化を創り上げてきた先人たちに思いをはせて感謝する気持ちを忘れないという、自分たちが在る背景を想像し、感謝することの大切さを学びました。
また、実習中に台風が接近し、5日間のヒアリング日程を3日間に短縮することになりました。台風の影響を受けて実習計画の見直しを話し合う時間は先が見えず、不安に思うこともありましたが、その時間は、話し合いに時間をかけてでもゼミ活動とは何か考え直す機会となり、共同調査だからこそ学ぶことがあったと感じています。そして、日程を短縮したにも関わらず計画していたヒアリングを遂行することができたのは、島の方々の沢山のご協力があったからだと感謝しています。
これからの事後学習では、ヒアリングで知り得た生活者の現状と課題を学問世界と往還し、現在の地域づくりを成り立たせている条件を明らかにするとともに、地域固有の資源を活かして地域を維持・発展させる上での課題と可能性について研究していきます。調査にご協力くださった全ての方々への感謝の気持ちをもとに、調査報告で少しでもその気持ちをお伝えできるよう励んでまいります。
最後に、私たちの調査にご協力、ご支援くださった全ての方々に感謝申し上げます。
文責:小栗ゼミ長 矢神明愛