小栗ゼミ2年生を中心に垂水市調査の報告交流会を企画・実施しました

教員:
2022.4.5

鹿児島大学と垂水市をオンラインでつなぎ、3月25日(金)14時~16時30分に「たるみずの輪を広げよう~垂水市の方々をつなげる報告交流会」を開催しました。

学生たちが、今回挑戦したのは、垂水市の9つの地区公民館ごとに複数の関係者から話を伺い、且つ、地区公民館に直接かかわる教育行政(社会教育課)と一般行政(企画政策課)の職員からも話を伺い、それらを総合する中で見えてくることを描き出すことでした。ゼミ生は、事前学習(7月~8月)、本調査(9月21日~22日、24日)、事後学習(10月~11月)、補足調査(12月)を経て、収集した情報の分析と考察を通して得た学びを、調査でお世話になった方々に還元する場づくりに取り組みました。

この日に刷り上がった調査報告書(全410頁)

報告交流会の準備過程について―学生A
今回の準備で大変だったことは、これまでの内容をまとめることでした。9つの地区に加え、行政と調査した内容が非常に多かったため、それらの内容を簡潔にまとめることが大変だと感じました。また、内容をまとめるだけでなく、まとめた内容が参加していただく方に内容の関連性が伝わるようにすることが大変でした。
準備過程でよかったことは、しっかりとみんなで役割分担をし、効率良く進めることができた点です。その過程、今まで以上にゼミ生の得意なことが見えてきたように思われます。そのため、今後の活動でも、得意なことを活かしながら進めることができればよいなと思います。

報告交流会の準備過程について―学生B
実際に報告交流会の準備を進める中では、自分の頭の中を整理するためにまとめる報告書と外部の人へ報告するための報告書は違うのだということを感じました。どのようにしたら相手に伝わりやすくなるのか、自分の文のどこが伝わりにくくなっているのかということを判断したり、言葉の表現や言い回しが難しかったです。報告交流会の準備過程で今の自分の力量を知ることができ、先生からのサポートをいただきながら進められたことで自分のスキルアップに繋がったと思います

報告交流会の準備過程について―学生C
準備過程で良かったことは、役割分担をして作業効率を上げることができたことである。6人全員で集まるのは難しく日程調整が難しかった。そのため、役割を分担し各々が時間が合うときに作業でき、効率よく作業できたことが良かったと思う。大変だったことは、垂水の方々に何を還元するか、何のために交流するのかといったことを事前資料やスライドにまとめることである。報告交流会前日まで4期生全員で話し合い、悩みながらギリギリで完成できた。大変ではあったが、自分たちの観点だけでなく相手の立場を汲み取りながら資料を作成する必要があるということを学ぶことができた。

垂水市は、指導教員の小栗が2005年から市の計画づくりに関与し、2008年に策定した第4次垂水市総合計画では、9つの地区公民館を拠点に地域振興計画を定め、地域の特性を生かしたまちづくりを地域住民の手で進めることを方針にしました。この考えに基づき10年間をかけて、大野地区を起点に水之上、牛根、新城、松ヶ崎、柊原、境、協和、垂水と順次、地区ごとの地域振興計画づくりが丁寧に進められ、すでに計画づくりの二巡目に入っています。

一方、少子高齢化の更なる進行や会計任用職員制度の地区公民館への導入など、垂水市の地域づくりは今大事な岐路に立っています。そこで、学生の視点から地区公民館のこれまでの活動と地域振興計画づくりについて振り返る調査を実施することで、垂水市の皆さんにその調査結果を役立ててもらうことを計画しました。

4つの会場をつないでの全体会
グループに分かれての話し合い

報告交流会を終えて―学生D
まず、報告交流会が無事に本番を終えられたことにホッとしています。この報告交流会を通じてよかったと思うことは、報告交流会を通して垂水市の方々を繋げる一助となったことである。交流会の際、垂水市で以前は持ち回りで地区同士話し合いをやっていたことが分かった。しかし現在は地区同士の話し合いは行われていない。交流会をしている中で地区の方々が地区同士の話し合いの場が重要であるということをおっしゃっていて、この報告交流会を実施して良かったと感じた。
また、参加者から平等に意見をもらうことが難しいと感じた。オンラインでの実施ということもあり参加者の表情を上手く読み取ることができずに話を振ることができなかった場面があった。議論の場では均等に話を聞くスキルが不可欠であるため、今後どのようにしたら均等に話してもらえるのかということを考えていきたい。
最後に今回の報告交流会では「交流の場の作り方」というよりも「交流することの重要さ」に重きを置いていた。少子高齢化といった社会問題が進行している中で今後、地区同士で交流することはさらに大事になってくる。そういった社会問題と垂水市の現状を踏まえながら、「交流の場の作り方」を議論していくことが今後の課題であると考えた。

報告交流会を終えて―学生E
自分の学びを自分の中で完結させるのではなく、外へ発信するというところまでを今回の報告交流会で行うことでとても良い経験をすることができました。また、4期生でのグループワークの経験も積むことができました。この経験はこれから大学生活、社会に出たときに必ず自分のためになると思います。
報告交流会の中で、垂水市の方から報告への感想を多くいただき、まずは自分の伝えたいことが相手に伝わったのだという喜びを感じました。自分のやってきた学びに意味を見出すことができました。また、質問・指摘をいただくことで報告交流会の準備過程では気づくことのできなかった新たな発見が多くありました。
垂水市の公民館関係者、行政の方々が自分ら大学生と真剣に向き合って下さったことを嬉しく思い、今後大学生という立場で自分はどのようなことをしていきたいのかと考えるきっかけとなったと思います。

当日の垂水市側の参加者は、地区公民館関係者(15名)と行政職員(10名)あわせて25名、大学側は、オンラインで参加した新ゼミ生も含めて12名でした。新型コロナウィルス感染症防止の観点から市側も会場を3つ準備頂き、連絡調整など企画政策課地域振興係の職員の方に大変お世話になりました。年度末のお忙しい時期に、長時間にわたり学生たちが企画した報告会交流会にご参加頂いた皆様方に深く感謝申し上げます。

最後に、協力いただいた垂水市の方の声を紹介したいと思います。

これまで異なる地区の方々が集まり、意見交換等をすることは殆どありませんでした。学生の皆さんによる提言と併せて交流会を実施していただいたことで、地区の方々及び行政が交流の有効性を実感できたと思います。今回の調査実習は、地区の方々の率直な意見を知り、本市地域振興の客観的意見をいただける貴重な機会となりました。調査報告書をじっくり拝読し、今後の業務に活かして参りたいと思います。ありがとうございました。