屋久島環境文化財団理事長を迎えての特別講義

教員:
2020.9.10

小栗ゼミでは、毎年夏休みにテーマを決めて地域調査実習を実施しています。今年は、covid-19の影響で実施が懸念されましたが、7月から例年通り調査実習の事前学習を開始しました。今年のテーマは、屋久島の「開発(人間活動)と自然保護の両立」を目指す地域づくりと住民のかかわりです。事前学習の一環として、8月24日に屋久島環境文化財団理事長の小野寺浩氏を迎えて特別講義を実施しました。

小野寺氏は、現在屋久島環境文化財団理事長ですが、屋久島が世界自然遺産に登録された1993年当時、環境省から鹿児島県環境政策課長として出向されていました。あまり知られていませんが、日本が世界遺産条約を批准したのは、屋久島が世界自然遺産に登録された前年の1992年、国連で条約が採択されてから実に20年も後のことです。

梅原猛さんの「屋久島へのメッセージ」ビデオ。特別講義は、屋久島にある環境文化財団ともZOOMで同時配信しました。

日本の世界自然遺産登録第一号の屋久島が誕生する背景には、哲学者の梅原猛氏やノーベル化学賞の福井謙一氏など、日本を代表する当時の文化人の知の結集と地元の理解がありました。その動きの中心にいたのが小野寺氏であり、特別講義では、27年の歴史を踏まえて、屋久島において克服する課題と屋久島からの提言について提起して頂きました。

4月より遠隔授業が続いたため、今回の特別講義が新ゼミ生を含めて初の顔合わせになりました。特別講義に参加した学生からは、「小野寺さんが貫いてきたこの環境文化村構想を継承し、さまざまな団体・施設ができあがり、私たちはその団体・施設の関係者にヒアリングをすることができるため、環境文化村構想のどこに共感・思いを惹かれて団体・施設での活動をしているのか、あきらかにしていきたい。」とのコメントが寄せられ、貴重な事前学習の機会となりました。