- 区分
- 翻訳・解説
- 著書・論文名等
- 鹿児島近代初期英国演劇研究会訳『王政復古期シェイクスピア改作戯曲選集』
- 掲載誌・発行所等
- 九州大学出版会
- 発行年月
- 2018年4月
多元地域文化コース(人文学科)
私の専門はイギリス演劇ですが、特にシェイクスピア以前のロンドンの法学院の紳士たちによって書かれた戯曲、それに、シェイクスピア以後、いわゆる「ピューリタン革命」に端を発する内乱期を経て、1660年にロンドンの劇場において芝居の上演が再開されてから18世紀までのタイムスパンで、シェイクスピア劇の改作を手掛けた劇作家たちの研究をしています。
授業では、イギリス・ロマン派の詩人たちの詩を鑑賞したり、ロアルド・ダールの短編小説を精読したりしていますが、その際、日本語訳を大いに活用するように指導しています。日本語訳を読むことによって、ある程度は原作の持つ魅力は理解できるからです。ですが、翻訳は原作に到底かないません。たとえば、原作で一つの単語に複数の意味がかけてあったり、洒落になっていたり、英語のリズムが小気味よく耳に響くような「工夫」がなされている箇所は、いったん翻訳してしまうと、見事に抜け落ちてしまうのです。授業では、原文を精読することによって、それら作家が施した「工夫」の数々や異文化的背景について確認していくことになります。
また授業以外でも、たとえば Asahi Weekly を読んだり、BBCやCNNのニュースを聴いたりすることによって、時事的トピックに関する英語表現に慣れ、授業で味読する文学書の文語英語だけでなく、口語英語も学ぶことになります。
ゼミでは、イギリス文学作品であれば、卒業論文の対象とするのに時代やジャンルは問いません。たとえば、私はわが国唯一の同好会である、「鹿児島大学シェイクスピアカルタ同好会」の顧問をしていますが、シェイクスピアカルタについての研究でもいいですし、シェイクスピアの舞台や映画やアニメを研究対象とすることも可能です。また、シェイクスピア以外でも、日系イギリス人作家でブッカー賞やノーベル文学賞も受賞したカズオ・イシグロに関する研究でもいいです。更には、日本文学が好きで、郷土作家として知られる島尾敏雄や向田邦子、また現代の人気作家である東野圭吾、宮部みゆき、湊かなえ、池井戸潤などの諸作品とイギリス人作家の作品とを比較する研究でも構いません。
余談になりますが、私は鹿児島サンタローザ友好協会の会員であり、また、US-Japan Forum の活動に賛同していますので、鹿児島大学に在学しているうちに、イギリスに限らず海外に留学をする機会があればそれを利用することを勧めています。日本を外から見ることによって、自分の世界観や人生観は大きく変わると思うからです。
卒業生には、鹿児島大学で最高の賞とされる「進取の精神 学生表彰」の「優秀賞」を2014年に受賞した学生をはじめとして、卒業生総代や法文学部同窓会表彰を受けた学生がたくさんいます。また、卒業生の就職先は、朝日新聞社、NTT西日本、野村證券、三菱UFJ信託銀行、鹿児島銀行、南日本銀行、宮崎銀行、九州労金、公認会計士、もち吉、JAL客室乗務員、ANA客室乗務員、JTB九州、近畿日本ツーリスト、JR西日本、フリーの通訳、鹿児島県庁、鹿児島市役所、一般公務員、中学校・高等学校の教員など多岐にわたります。
シェイクスピアの材源と改作について研究しています。後者については、2018年に刊行した『王政復古期シェイクスピア改作戯曲選集』の帯に書かれている売り文句、「1642年、シェイクスピアの没後30年足らずで勃発した、いわゆる「清教徒革命」によって、イギリスにおける商業演劇の伝統は断絶した。18年後、王政復古を機に再開した劇場では、職業的女優が舞台に登場し、内乱期以前とは異なる観客たちのために、台本が改変されて上演されるようになった。演劇伝統の断絶と再開をシェイクスピア劇はどのように生き延びたのか? 改作『じゃじゃ馬馴らし』『リア王』『リチャード三世』『ヴェニスの商人』の本邦初訳と解説からなる演劇ファン必読の書」とあるように、本邦初訳となる王政復古期のシェイクスピア改作劇とその詳細な解説を収めました。
・日本英文学会
・日本シェイクスピア協会
・英語史研究会
・九州シェイクスピア研究会
・鹿児島近代初期英国演劇研究会(代表)
・鹿児島サンタローザ友好協会