大学生コンサルティング事業2024発表会を開催

2025.1.29

法文学部法経社会学科経済コース馬場研究室では、2022年度より「大学連携による繁盛店づくりコンサルティング事業」に取り組んでおります。3年度目となる2024年度の最終発表会が2024年12月6日にマークメイザンで開催されました。

※大学連携による繁盛店づくりコンサルティング事業は、鹿児島大学の学生が鹿児島市の事業者にマーケティングプランを提案する産官学連携事業です。2024年度は、キンコー醤油様Diniz Coffee様スーパーハルタ様の協力を得て、事業に取り組んでいます。事業の概要は過去記事鹿児島市HPをご覧ください。

最終発表会では、アドバイザーの新徳博幸氏(株式会社さくら優和コンサルタント 代表取締役社長)、浅井南氏(わるだくみ 代表)と経済コースの安藤良祐先生(経営組織論)より丁寧なフィードバックをいただきました。また、鹿児島市内の事業者の皆様および鹿児島市の職員の皆様より多くのコメントもいただきました。参加事業者の皆様と鹿児島市には実践的なマネジメント教育の場を提供していただきました。ここに深く感謝申し上げます。

南日本新聞報道(2024年12月17日)

学生の振り返りのコメントをいくつか紹介します。

3年生
今回、参加するのは2回目ということもあり、昨年よりも余裕を持って進めることができると思っていたが、昨年とはまた違う困難に何度も直面し、コンサルティングの難しさを改めて実感した。今回は個人の目標として、前回の反省点であった「実現可能性への考慮」と「ワクワク感のあるプラン作り」を意識して取り組んだ。鹿児島市の方や事業者の方々から面白いアイデアだ、視点が良いなど好評を頂けたことから、最終的には、個人の目標は達成できたといえる。
しかし、2回目だからと油断していた部分もあり、タスク管理や丁寧さが欠けてしまい、後半に現状分析の不十分さやプランの詰めの甘さが出てしまったため、もっと余裕を持って上手く進めることができたのではないかという後悔も残っている。
チーム全体では、お互いの得意分野を活かし、不得意な部分は補い合いながら、バランスよく進めることができたと感じる。全員、良いプランを作りたいという思いが共通していたため、何度壁にぶつかっても最後まで諦めず、細かい部分までプランを練ることができた。全員で集まる時間を作ることには苦戦したが、集まれる人だけで集まる、集まらずに出来ることは作業分担するなど、工夫して活動できた。
現状分析では、メーカーということもあり、顧客インタビューの難しさや最終消費者の既存顧客が見えないといった課題があり、解像度の低い現状分析となってしまった。10月にweb調査を行ったが、データ分析の難しさも実感した。また、プランの作成では、差別化の難しさや実現可能性を考えた際に、良いアイデアが出ず苦戦した。
アイデアやプランは、作り直しては没になることの繰り返しで、最終的なプランが固まったのは発表会まで1か月を切った頃であった。そのため、詳細な部分が詰められていない部分もあったが、最後まで向上心を持って取り組んだことで、皆が納得のいくプランを提案できた。

3年生
今回のコンサルティング事業は、私たち3年生にとって二度目の挑戦であった。昨年度の経験と1年間で培った知識を駆使して、より実現可能性が高く、よりワクワクするプランを考えることができたと感じている。しかし、二度目の挑戦であるがゆえに、むしろ昨年以上のプレッシャーと責任感を感じ、新しい壁にもぶつかった。
チームとしては、就職活動や留学、並行して進む他の授業との兼ね合いなど、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮することができた。現状分析からプランを検討する中で「EC においてライフスタイルブランドを確立する」というありたい姿に対し、どのようにアプローチし、どのように顧客に提供価値とメッセージを伝えるべきかが最も頭を悩ませた点である。ライフスタイルブランドとは何か、
クライアントの事業の提供価値は何か、それをECで伝えるにはどうしたらよいか、どんな人に届けるのが良いか、など考えなければいけないことは尽きなかった。メンバー間でも認識の違いがあったり、自分では考えもしない角度からアイディアがでたりとチームだからこその難しさや楽しさを感じることができた。
(中略)また、クリエイティブという初めての難しさに直面し、アドバイザーの方に突撃してアドバイスをいただいたり、絵コンテの作成や実際の映像撮影、そして編集などメンバーとアイディアを出し合いながら何度も変更を重ねた。コンサルティング事業を振り返ると、意識の擦り合わせ、細部へのこだわり、客観的な視点からプランを見直す能力が向上したと考える。
フィードバックでは、面白い、細かく設計されていて説得力があるという意見をいただき、発表に関してもメンバーでこだわった点がきちんと伝わっており嬉しかった。プランについては事業者様からの意見が新たな視点で非常に勉強になった。

3年生
良かった点と改善点について述べていく。良かった点は2点ある。1点目はチームが組織として上手く機能したことである。初期の段階からチーム内での心理的安全性が高かったため、密なコミュニケーションを取ることができた。これは「メンバー間での認識のずれ」「言いづらい意見の共有」「建設的な議論」等に繋がる大切な要素であった。また、個人の強みを各々がチームに還元できたのも良かった。後期に入ってからはチーム内でメンバーがどの役割に適しているかを自然と共有できており、その結果お互いの長所を最大限活かし合える環境を構築することができていた。
2点目は1点目に少し付随するが、自分の強みをチームに還元することができたことである。事業開始時は自分の強みを把握できていなかったが、後期に入ってから自分の強みについて理解することができた。ここでいう私の強みは「調整力」である。具体的にはチーム内での心理的安全性や議論の進め方、本番までの目標設定等で貢献できたと感じている。昨年度は自分の強みが何で、それをどう活かせばいいか理解できていなかったため、2年目でこの気づきを得ることができた。
次に改善点について述べる。改善点は定量的な裏付けである。プレゼンにおいて、事業者様に定性的な説得をすることはできたが、定量的な評価軸を設けることがあまりできなかった。クライアントに納得してもらうには定性的な側面だけでなく定量的な側面でもアプローチした方が納得感に違いが出るにも関わらず、あまり材料を準備できなかったことが改善点として感じられた。
しかし、本事業を振り返って密度の濃い幸せな時間を過ごすことができた。新しく学んだ知識やチームメンバーとのアイディア出し、事業者様への聞き取りやプランに悩んだときなど、一つ一つが自分にとってかけがえのない財産になった。この事業に2年間参加できて本当に良かった。

2年生
コンサルティング事業に取り組む前は、マーケティングの知識なども習ったばかりでどのように進めていけばよいのかもわからず不安を抱いていた。取り組み終わってみると、想像していた以上に大変だったと感じる。
現状分析では、実際に店舗を訪れたり、事業者様のお話を聞いたりすることによって丁寧に分析を行うことができ、それが後々マーケティングプランを考える際に役立ったと思う。
そして、一番大変だと感じたのはマーケティングプランを考えることである。驚きのあるようなアイデアがなかなか出ず、整合性やストーリーといった点でも上手くいかないことが多くて苦労したが、チームで様々なアイデアや意見を出し合うことにより前に進むことができて良かったと感じる。
しかし、発表の少し前まで考えていたプランを直前で変更することになり、時間のない中でプランを考え直さなければならなかったため焦りを感じた。それでもチームでの話し合いを重ね、最終的にはそれまで考えていたプランとは違った良さのあるプランをつくり上げることができ、大変さとともに達成感を感じた。
私たちのチームでは、全体を通して実現可能性の高いプランを考えることができていたと思うため、それは良いところだったと考える。最終的なプランについて、考える時間が少なかったこともあってプランの内容が詰めきれていない部分が残ってしまったことは反省するところであるため、次のコンサルティング事業に生かしていきたいと思う。コンサルティング事業を通して、現状分析や整合性の大切さ、思い切って考えを変える決断力の必要性、チームでの話し合いや協力の重要性など、様々な学びを得ることができた。

2年生
今回、初めてコンサルティング事業に取り組んだ。全体として前期の2・3年生合同の現状分析では自身の学習不足により、先輩方に迷惑をかけてしまう場面が多かった。後期の学年別のチームに移行してからは前期の反省を受けて自主的にチームに声をかけ、事業を進めていくことができたと振り返る。
この事業の中で私が一番困難だと感じたことは全体の整合性を加味した上でのストーリーの展開である。ありたい姿、ターゲット、問題構造の捉え方、これらの内の1つを変更することにより、全体の整合性が取れなくなり、行き詰ってしまうことがしばしばあった。この困難を私たちのチームは幾度も話し合いを重ねることや時には休憩をしてリフレッシュをしながらストーリーを少しずつ固めていくことで解決をした。
この過程で、私は2点の重要なポイントに気付くことができた。1つ目は、話し合いの機会を設けることの重要性である。チームで話し合いを重ねることで認識が共有され、同じ方向を向いて話を進めることができるため、話し合いの機会を多く作ることは重要だと感じた。2点目は、白紙にすることをいとわない姿勢である。初めは、一度、時間をかけて作り上げたストーリーを練り直すことに抵抗を感じることもあったが、よりよいプランにしていくためには試行錯誤が不可欠であると、最終発表を終えた今では感じる。
個人として良かった点は、主体的にコンサル事業に取り組めたことである。特に学年別で始動し始めてからは自分発信でチームに声を掛けたり、最終発表に関しても人前に立つことは苦手ながらも練習を重ね、形にすることができたことである。改善が必要だと感じた点は調査を活かしきれなかったことである。ストーリーを展開する上でのデータの役割の重要性に終盤で気づいたため、調査の結果を十分に活かしきれないまま、終えてしまったため、来年、何かの形で調査を実施する際には分析にさらに力を入れたい考えた。
この半年間は単にマーケティングを学ぶだけではなく、チーム内でコミュニケーションをとることの重要性や人前での発表など本当に学びが多かったと感じる。この学びをぜひ今後に活かしていきたいと考える。