小栗ゼミが大島地区高等学校PTA研修会(喜界高等学校会場)の企画運営に参加
2024年11月16日に喜界高等学校で開催された第37回大島地区高等学校PTA研修会に小栗ゼミが企画・運営にかかわり、2024年夏の喜界島調査合宿に参加した13名が再訪しました。本会は、指導教員の小栗が開催校である喜界高等学校PTAより基調講演の依頼を受けたことをきっかけに実現しました。
研修会のテーマは、「子どもと大人が共に学び、成長する島をめざして~お互いの立場を尊重し、相互理解を深める~」、当日は、基調講演(小栗教授)に続き、高校生と教師・保護者(PTA)が実際に話しあい、相互理解を深められるワークショップをゼミ生が中心となって実施しました。
当日は、あいにくの台風により直前に会場が変更になったり、与論島と沖永良部島のPTAの方の参加が急遽オンラインになったりと、イレギュラーな対応に追われる中、高校生、大学生、保護者、教職員の総勢60名以上が集い、日頃思っていても言えない本音を語り合う場となりました。
企画・実施に当たっては、喜界高等学校PTA会長の永井昌徳氏を中心に、同校の松野下修司校長、鶴田美里映教頭、前田卓教諭(渉外係)、鮫島史郎事務局長に大変お世話になりました。研修会終了後に「13名の学生の方々による高校生と保護者や職員との交流会は、活発な意見交換が交わされ非常に中身の濃い研修会となりました」とお便りをいただきました。
研修会の企画・運営で活躍したゼミ生の経験は、ゼミ長の矢神明愛さんに報告してもらいます。
☆ワークショップの開催に向けた準備☆
喜界高等学校で開催される第37回大島地区高等学校PTA研修会のワークショップへの参加が決まり、私たち小栗ゼミは、「子どもと大人が共に学び、成長する島をめざして~お互いの立場を尊重し、相互理解を深める~」に貢献するために子どもと大人が言いたいことや聞きたいことに基づき、個人レベルにとどまらず、集団レベルで相互理解を深められる場にするための企画づくりに着手しました。
夏のヒアリング調査では、喜界中学校生と喜界高校生にヒアリングを行い、その中で大人と子どもの会話の少なさや、それによる双方の思いのギャップや共通認識の不足という課題が明らかになっていました。今回のPTA研修会では、調査を踏まえてゼミ生が課題に対する認識をさらに深めること、また、明らかになった課題を会の参加者にも知ってもらい、大人と子どもが歩み寄るきっかけになればという思いで携わりました。
私たちに与えられたワークショップ(意見交換)の時間は90分間。この時間を最大限に使う方法をゼミ生で考えました。限られた時間で高校生と保護者、学校の先生方が双方の思いを共有し、より本質的な話し合いをするために、テーマ設定やワークショップ形式の選定、加えて、大人と子どもがテーマになっている以上、高校生に何としてでも参加してもらいたいという思いで、高校生の参加を引き出せるようなイベント要素の追加や会のPRポスターづくりなど、様々な側面を考慮して企画しました。
☆ワークショップの実際☆
ワークショップでは、大人と子どもの両方が意見を発散し、そして、年齢と属性を超えて意見を知り、相互理解につながるよう、大小3つのグループに分かれてグループワークをしました。ゼミ生一人一人が各グループでファシリテーターを担い、ファシリテーター同士連携をして会全体の進行を見ながら話し合いを進めました。
私たち小栗ゼミでは、調査の中でも「学習空間」という人が集い、情報共有がなされることでギャップが埋まったり、気づきや学びが生まれたりする場に注目していますが、それを自分たちで実際に生み出すということの難しさややりがいを感じました。
以下、参加したゼミ生の感想です。
PTA研修会には、ファシリテーターとして参加した。初めての経験で、どのような話し合いになるのかイメージが難しく、始まる前はとても不安だったが、その場の全員の協力を得て自分にとって実りある時間となった。この経験を通して、ファシリテーター次第で、話し合いの質が大きく変わるということを実感することができた。話し合いの場では、一人ひとりの意見が重要である。意見の引き出し方や質問による深堀り、素早く意見を整理する力などを身に付けていきたいと思った。A.J
今回参加したワークショップは、私たちゼミ生が主体となって、ワークショップのテーマ決めなどの準備を行った。準備は大変ではあったが、その過程が学びにつながった。また、当日は、参加者の方々が積極的に意見を出して下さり、活発な議論をすることができた。このワークショップ全てを通して、非常に良い経験になった。I.M
効率や実施のしやすさ、高校生と大人の交流という会の趣旨を満たす進行の方法を考えることは難しかったが、より実践的な学びを得ることができたと思う。班の動かし方や共有の仕方をゼミ生同士で一生懸命話し合ったおかげで、PTA研修会のワークショップでファシリテーターとして班を回すことができ、高校生と大人が交流して互いの認識を改め、その関係について前向きになれるような気づきが得られる会になったと感じた。K.A
大人が子供の意見に一定の理解と譲歩をしながらも、中々納得できないところもあるという意見が多く出た。子供のことをもっと理解していくという意見に対して、自分の子供とリンクさせながら考えるとそんなに簡単に納得がいくものがないというような意見も出た。一方で子供の意見に大人が納得した事例もあり、これほどの差異が生まれた原因は何故なのか、共通点はあるのかなどもっと考えていく必要があると思った。K.K
ワークショップのテーマは何にするか、どのような内容にするか、進め方はどうするのかなど、想像以上に考えないといけないことが多く大変だった。特に、参加者が参加して良かったと思えるようなものを企画するのが難しかった。ワークショップを時間通りに内容を進めることはかなり難しく感じた。特に、班のメンバーへの声のかけ方には注意が必要だなと感じた。貴重な経験ができたことに感謝したい。G.A
PTA研修会では、主に大人と子どもの間にあるズレについて議論したが、お互いの主張やそれに対する返答を聞いた時、両者のどちらかの認識や考え方が間違っているということは無く、お互いの育ってきた環境や置かれた立場の違いなどによって答えが変わるのだと言うことを実感した。また、大人と子どもが互いの主張や返答を聞いた時に、互いの主張を認め合い、同時に自分のこれまでの行動や考えを見直している様子があり、面と向かって対話すれば理解できる部分も少なからずあると感じた。S.J
私の担当は、大人班であった。大人であっても、初対面、異なる属性の方が1つのグループに集まるという状況には変わらない為、ファシリテーターであるゼミ生が、いかに対話しやすい空間作りを担うかが鍵であると実感した。大人が、子どもに対する/子どもからの意見に対して、眉を寄せて全力で考える時間が創出できたことは大きな成功であったと思う。
特に印象深かったのは、WS終了後、近くにいた高校生数人に「どうだった?」と聞いた際、「楽しかった!」と即答してくれた事である。達成感とやりがいを得た。N.N
大地地区高等学校PTA研修会を終えて、大学生という立場で、大人と子どもの話し合いの場を支える存在になるということ、そして、今後も継続することができるようなきっかけ作りに携わることができたことに大きな意味があったのではないかと感じた。当日、当初想定していた解答ではなく、子どもからでた「意外性」のある解答というものが、私たち大学生だけではなく、実際に参加した大人にも大きな刺激になったのではないかと思う。T.L
大人と高校生の対話の場を自分たちで作り、班の進行をし、対話を進めるというのを実際に行うことで、文献を読むだけではわからない経験をすることができました。会を進める間はどのようにしたら双方が本音を言いやすいのかすごく考えさせられました。これから活かしたいこととしては、大人や子どもが普段考えている本音を引き出すために、いろいろな角度からの例を出すことができたらもっとよい対話の機会になれたのではないかと思いました。H.N
ゼミ活動のひとつとして、より良いものを作って行くために、的外れな意見だったとしても、発言するということを心がけていきたいと思う。ファシリテーションをもっと経験して、少しでも場を回せるようになりたいと思った。今回の研修会では、自分がまとめるという作業がとても苦手だと言うことに気づくことができた。いろんな情報をまとめる作業を意識して行なっていき、慣れていきたい。M.M
ワークショップでは、学生と大人の間にゼミ生が立った間接的対話だからこそ、大人と子どもが互いに理解に向かうための交流時間になったと感じました。学生の意見に対して大人から現実的に厳しいリアクションもありました。しかし、ゼミ生が学生と大人の意見を紹介するようにワンクッション置いたことで、本音を出し合いつつも最終的にお互いが寄り添った受け止め方、まず話を聞くというような自身の行動を変化させる意見にも繋がったと考えました。M.Y
大島地区高等学校PTA研修会において、様々な大人と子どもの本音を聞き出すことができた。今回の会を通して子どもたちの本音を聞き出すことができたのではないかと考える。子どもたちが普段大人に言えないこと、またはその逆も然りだがこの様な場で普段考えている本音を聞き出すことで今後の意識や行動に影響し島が良い方向に動くのではないかと考える。M.K
大人と子ども双方の振り返りシートに、互いの思いに気づいたという声があった。また、高校生が次の行動まで構想していたため、日ごろ言えないことを共有できたことの意義があったのだと確認できた。ただ、一回のワークショップで完全に歩み寄るところまで持っていくには難しく、対話を重ねることが何よりも重要であると感じた。今回はまず互いの意見を共有し、知ることに意義があったと振り返る。私自身もファシリテーターをする中で両者を俯瞰し、地域の大人と子どもを取り巻く現状や、対等な話し合いの厳しさを知ることができ、大変学びになった。Y.A
夏の調査に引き続き、今回PTA研修会の企画・運営の一部に改めて携わらせていただいたことで、地域の実状を知ることができただけでなく、企画者・運営者としての学びを得ることができました。集中講義で学んだファシリテーションを応用する絶好の機会となり、脳に汗をかきながら学ぶ経験ができました。まだまだ改善の余地がある点についてはこれからの学びで深めていきます。このような機会をくださり、学びの空間を一緒につくってくださった全ての方々に感謝申し上げます。
文責:矢神明愛