ヨーロッパ社会研修を実施しました
9月21日から10月3日まで、地域社会コースの中島ゼミは教員の引率指導のもと、フランスのストラスブールとドイツのフライブルクを中心に「ヨーロッパ社会研修」を実施しました。主な目的は歴史的中心部である旧市街の歴史的・文化的魅力を体験し、それを活かす市電と自転車、歩行者優先のまちづくりを知ることです。
ストラスブールでは大聖堂を中心に広がる世界遺産の旧市街を見学し、対岸のドイツ・ケールまで延びる先進的な市電を体験したほか、郊外から車で来た人が市電に乗り換えるための駐車場パーク&ライドについても調べました。
「環境首都」として知られるフライブルクでは環境教育研究センター「イノベーション・アカデミー」のヴァレリー・ブルトーさんに旧市街を案内していただき、車中心の旧市街が歩行者ゾーンに生まれ変わった歴史的経緯や今後の歩行者ゾーンの拡大に向けた取り組みについて説明を受けました。またヨーロッパ最大のプラスエネルギー建築とされるシュトゥーリンガー地区の新市庁舎を見学し、温暖化ガス削減やヒートアイランド化防止に関するワークショップも行いました。
自由行動では自家用車を排除したまちづくりで知られるヴォーバン地区を学生だけで訪ね、ソーラーパネルや断熱壁を活用したゼロエネルギー住宅や低エネルギー住宅の並ぶ緑豊かな住宅地を見学しました。
またシュヴァルツヴァルトの麓に位置する小都市ゲンゲンバッハでは市役所を訪問し、エルニー市長やキミッヒ文化観光局長と懇談しました。市民生活に大きな影響をもたらした新型コロナや人口減少への対応、新たな住宅・商業用地の開発など、市の抱える課題とそれに対する取り組みを直接市長さんから聞くことができました。
参加した学生の感想です。
「ストラスブールの先進的な市電(LRT)は、信用乗車方式によって全扉で一斉乗降ができ、低床式の多連結車両によってバリアフリーの大量輸送を可能にしていました。また、ライン河の対岸にあるドイツのケールとも結ばれており、市電に乗ったまま国境を超えるという日本では決してできない経験もしました。歴史的な建物が残る旧市街エリアは車の通行を制限するトランジットモールとなっており、歩行者と自転車、市電を中心として街の賑わいを創出している点もヨーロッパならではの風景だと感じました。
今回の研修で一番印象に残ったことは、ゲンゲンバッハを訪問したことです。先生の事前のアポイントによって、市長と文化観光局長に市庁舎で懇談する機会がありました。市内のインフラ整備やエネルギー政策、観光や市政の抱える課題などについてお話しいただきました。日本の都市と比較して優れていると感じる点もある一方で、中心市街地から離れた地域では働き口がなく、人口減少が進んでいるという日本と同様の課題もあるという少し意外な発見もありました。
今回の研修では10近くの都市を訪問し、毎日10キロ以上歩きました。それだけ多くのことを見聞し、視野を広げ、新たな視点を得る機会となりました。」
今回の研修には卒業生1名もサポートメンバーとして同行しました。