大崎町で多文化共生調査を実施(6)

教員:
2021.3.10

3月2日に希望者のみで大崎町の多文化共生に関する調査を実施しました。(酒井ゼミは公益財団法人マツダ財団から助成を受けて本年度から「住民参加型による外国人技能実習生の地域包摂に関する調査研究~鹿児島県大崎町を事例に~」と題したプロジェクトに取り組んでいます。本調査は、特定非営利活動法人大崎ものづくりネットワーク振興会鹿児島大学大崎活性化センターからご協力頂いて実施しています。)

午前中は大崎町を探索しました。午後からは、大崎町教育長の藤井さまと大崎町教育委員会管理課指導主事の須藤さまから、大崎町教育委員会が取り組むコミュニティー・スクールや「大崎町SDGs未来とし計画」に関する取り組み等についてお話をうかがいました。

参加した学生からは以下のような感想が寄せられました。

午前中は散策でしたが、インタビューをメインにしました。その中でも私が印象に残っているのは、インタビューをした方が口を揃えておっしゃっていたことで、ゴミ分別は最初は大変だったけど、今はやってよかったと思っている!や、むしろ今では分別をしない方が気持ち悪いと言ったように、住民の方々から直接ゴミ分別に対するポジティブな印象を伺えたことです。また、行政の職員が頑張ってくれてるから、私たちも頑張らなければという言葉にも、行政と市民の信頼関係の強さを見ることができました。

午後の教育長のお話は、これからの社会における社会教育の重要性と期待について改めて認識した。更に、教育長さんは多くの横とのつながりを多く持っておられ、他部署とプロジェクトを計画するなど教育の範疇を超えた取り組みを行われており、とても興味深かった。社会教育が孤立化が進む現代で横との縦のつながりを生む着火剤となると知った。そしてコミュニティスクールは容易に大学生が関わることができることが分かった。みうらさんのアイショップでは多くの廃棄がでるとのことだったので、TABETEなどを通じてコンビニだけではなく、大崎ならではのお店の魅力やフードロス削減等に関するファシリテーションなどを企画してみたい。

午前中は町内を探検して、住民の方や外国人技能実習生の方、公民館の副館長をされている方などに直接お話を伺うことができた。初対面の方にインタビューをするのは初めてで、質問以前に自己紹介や声の掛け方、接し方(インタビューに答えたくない人への配慮も含め)など様々なことに配慮する必要があると感じた。また、事実質問をできるだけした方がいいと思いながらも、緊張や焦りでなかなか意識することができなかった。場数を踏むことの重要性を痛感した。
町の人とお話しする中で、外国人技能実習生との交流はあいさつ程度で、あまり関わりがないという声が聞かれた。外国人技能実習生の方と実際に話してみると、にこにこしながらお話ししてくださり、地域の方々とも話す機会が増えたらきっと外国人技能実習生の方々にとって生きやすい地域になると肌で感じることができた。前回の訪問で、社会教育課さんがおっしゃっていた“あくまで労働力”という認識を改める必要性を再度深く感じた。個人的に、コロナ禍という状況でオンラインだけでなく、誰もが利用できる日記や手紙、新聞などの様々な媒体を使って住民との距離を縮めるのも面白いのかなと思った。
20年間大崎町で仕事をしていらっしゃる方が、“パッとしない町”とおっしゃっており、かなりショックを受けた。しかし、それ以上にそれを聞いた行政の方が“そういう声を聞けてありがたいですね”とおっしゃっていたことに驚き、感動した。住民の声に真摯に向き合う姿勢がリサイクル分別の徹底にもつながっていると思い、大崎町の大きな可能性を感じた。また、私自身も大崎町に対するある種“批判的な意見”を聞くことで、大崎町を多面的に捉えるきっかけになった。行政の方の姿勢を見習いたいと思った。
最後に公民館の副館長をされている方に集落に入っていない方々へのアプローチについて伺った。子どもがいるご家庭には子ども会を通して集落への加入を促しているとおっしゃっていた。実際に子ども会へのアプローチがきっかけで集落に加入した事例はあるのか気になった。また、一人暮らしや子どものいない夫婦に対するアプローチ方法や、そのような方々が集落に入るメリットは何かを知りたい。

午後は教育長の藤井さんにお話を伺うことができた。私は教育長の社会教育の捉え方(学校教育<社会教育)と社会教育課の社会教育の捉え方(学校教育を補完的する役割を持つ社会教育)に大きなギャップがあることが気になった。社会教育課にコーディネーターが配置予定ということで、コーディネーターの方と社会教育課の連携によってこの状況の改善が期待できるかもしれないと思った。
予算が厳しいという理由で社会教育主事がおけない地域が増えている中で、県や国から補助金が出ていないことは残念に感じた。(社会教育への出費が重視されていないように感じた)
また、コミュニティ・スクールという地域と学校が連携するという組織が小中学校で導入されており、コミュニティ・スクール土曜授業では企業や個人が子どもたちに体験型での学びを提供していることを知った。子どもたちにとって非常に良い経験になると思う。コミュニティ・スクールが管理課で運営されているが、コミュニティ・スクール土曜授業など学校教育外の取り組みについては社会教育課も加わると良いのではないかと感じた。子どもと大人で業務を分けており、子どもを対象に業務を行うのが管理課、大人を対象に行うのが社会教育課とおっしゃっていた。しかし、社会教育は子どもから大人まで必要とされる教育であると思うため、分けるのではなく、いかに連携するかが重要だと思う。
最後に、お話の中で教育長の町の課題に気づく力と行動力を感じた。非常に多くの学びがあったため、またお話を伺いたいと思った。