法文学部の教員と学生が最高裁判所判事を訪問しました
法文学部法経社会学科法学コースの法政策論・行政法務論ゼミでは、ゼミ活動の一環として行政課題や法政策について学び、また、将来のキャリアパスを考える材料とするため、官公庁などを積極的に訪問しています。
今回は、ゼミの代表者も務める児島優香さんが、令和元年11月21日、最高裁判所の役割や組織の運営などについて詳しく学ぶため、指導教員の宇那木正寛教授とともに宇賀克也最高裁判事(東京大学名誉教授)を尋ねました。このたびの訪問は、以前から宇賀判事と親交のある宇那木教授の希望により実現したものです。
来春から裁判所での勤務を予定している児島さんにとって、最高裁判事との面談や最高裁判所の施設見学は、入庁後のキャリアを考えるうえで、大変貴重な財産となりました。
訪問当日、最高裁正面玄関では、宇賀判事付の安本秘書官にお出迎えいただき、判事室へご案内いただきました。秘書官とは、裁判所法54条に定めのある職名で、最高裁判所判事の命を受けて、機密に関する事務を掌るなど重要な職責を担っています。なお、秘書官は、最高裁判事に各1名が配置されています。
判事室に案内された児島さんは、日本の司法制度における最高裁の役割をはじめ、日々の判事のお仕事やご苦労に至るまで詳しく伺うことができました。最初は緊張していた児島さんでしたが、宇賀判事の優しいお人柄や興味深いお話をしていただいたことから、徐々に緊張はほぐれました。その後は、宇賀判事に積極的に質問をし、また、自身の卒論テーマである行政代執行制度について語るなど法律談義に花を咲かせました。
その後、安本秘書官のご案内で大法廷、小法廷、資料室などを見学しました。また、各法廷の裁判官控室などにも案内をしていただきました。大法廷で扱う事件は年間数件にすぎません。しかし、上部から自然光が降り注ぎ、静謐かつ荘厳な雰囲気をもつ大法廷の存在感は他の法廷を圧倒するものでした。
また、児島さんは、大法廷の判事席に着座し、判事席から大法廷を見渡すという貴重な体験をさせていただきました。さらに、特別研究室では、最高裁図書館の坂本総務課長に、大審院と最高裁の歴史などのミニ講義を開講していただきました。
最高裁を後にする際、再度、宇賀判事室に伺いました。この際、宇賀判事から児島さんに、「志を高くもち、裁判所を担う人材になって下さい」とエールを頂きました。
最高裁での訪問日程を終了した児島優香さんは、「宇賀判事との面談はとても緊張したけれど、お優しくお話をしてくださり、感銘いたしました。また、判事として年間に数百件の事件を処理なさっていること、加えて、宮中行事へのご出席などで大変お忙しくされていることに驚きました。最後には、エールまでいただき、私の人生に残る貴重な経験をさせていただきました。また、安本秘書官からは、裁判所に勤務する先輩職員として心構えや将来性などのお話をしていただき、自身の選択に確信を持つことができました」と充実の笑顔を見せていました。
【謝辞】
判事室での懇談や一般には見学できない最高裁内の施設見学など、ゼミ生共々貴重な経験をさせていただきました。児島優香さんにとっても、裁判所におけるキャリアを考えるうえで、何物にも代えがたい貴重な財産になったと思います。
私は学生を社会に送り出す立場にあるのですが、裁判所では多くの魅力的な仲間との出会いがあり、法の専門職としてはもちろんのこと、人として大きく成長できる素晴らしい組織であるということをあらためて実感することができました。
学生に貴重な教育の機会を提供してくださいました宇賀判事ならびに安本秘書官をはじめ最高裁事務局の皆様のご厚意に感謝いたします。
鹿児島大学 宇那木正寛