教員紹介
多元地域文化コース(人文学科)
大和 高行
YAMATO Takayuki教育・研究の最新情報
私の専門はイギリス演劇ですが、特にシェイクスピア以前のロンドンの法学院の紳士たちによって書かれた戯曲、それに、シェイクスピア以後、いわゆる「ピューリタン革命」に端を発する内乱期を経て、1660年にロンドンの劇場において芝居の上演が再開されてから18世紀までのタイムスパンで、シェイクスピア劇の改作を手掛けた劇作家たちの研究をしています。
授業では、イギリス・ロマン派の詩人たちの詩を鑑賞したり、ロアルド・ダールの短編小説を精読したりしていますが、その際、日本語訳を大いに活用するように指導しています。日本語訳を読むことによって、ある程度は原作の持つ魅力は理解できるからです。ですが、翻訳は原作に到底かないません。たとえば、原作で一つの単語に複数の意味がかけてあったり、洒落になっていたり、英語のリズムが小気味よく耳に響くような「工夫」がなされている箇所は、いったん翻訳してしまうと、見事に抜け落ちてしまうのです。授業では、原文を精読することによって、それら作家が施した「工夫」の数々や異文化的背景について確認していくことになります。
ゼミでは、イギリス文学作品であれば、卒業論文の対象とする時代やジャンルは問いません。たとえば、私はわが国唯一の同好会である「鹿児島大学シェイクスピアカルタ同好会」の顧問をしていますが、シェイクスピアカルタについての研究でもいいですし、シェイクスピアの舞台や映画やアニメを研究対象とすることも可能です。また、シェイクスピア以外でも、日系イギリス人作家でブッカー賞やノーベル文学賞も受賞したカズオ・イシグロに関する研究でもいいです。更には、日本文学が好きで、郷土作家として知られる島尾敏雄や向田邦子、また現代の人気作家である東野圭吾、宮部みゆき、湊かなえ、池井戸潤などの諸作品とイギリスの人気作家の作品とを比較する研究でも構いません。
私は鹿児島サンタローザ友好協会の会員であり、また、US-Japan Forum の活動に賛同していますので、鹿児島大学に在学しているうちに、イギリスに限らず海外に留学をする機会があればそれを利用することを強く勧めています。日本を外から見ることによって、自分の世界観や人生観は大きく変わると思うからです。
卒業生には、鹿児島大学で最高の賞とされる「進取の精神 学生表彰」の「優秀賞」を2014年に受賞した学生をはじめとして、卒業生総代や法文学部同窓会表彰を受けた学生がたくさんいます。また、卒業生の就職先は、朝日新聞社、NTT西日本、野村證券、三菱UFJ信託銀行、鹿児島銀行、南日本銀行、宮崎銀行、九州労金、公認会計士、もち吉、JAL客室乗務員、ANA客室乗務員、JTB九州、近畿日本ツーリスト、JR西日本、フリーの通訳、鹿児島県警、鹿児島県庁、鹿児島市役所、一般公務員、中学校・高等学校の教員など多岐にわたります。
担当講義
- イギリス文学概説A
- イギリス文学概説B
- イギリス演劇研究
- イギリス文学演習1
- イギリス文学演習2
専門分野
- 研究キーワード:イギリス文学、ルネサンス期、近代初期英文学、材源、シェイクスピア、王政復古期、改作、長い18世紀、娯楽、ファン・カルチャー
- 研究テーマ:シェイクスピア前後の作家たちの劇作品の翻訳、18世紀の娯楽文化に関する研究
研究内容
シェイクスピアの材源と改作について研究しています。前者については、こちらのサイトで詳細を知ることができます。後者については、2018年に刊行した『王政復古期シェイクスピア改作戯曲選集』の帯に書かれている売り文句、「1642年、シェイクスピアの没後30年足らずで勃発した、いわゆる「清教徒革命」によって、イギリスにおける商業演劇の伝統は断絶した。18年後、王政復古を機に再開した劇場では、職業的女優が舞台に登場し、内乱期以前とは異なる観客たちのために、台本が改変されて上演されるようになった。演劇伝統の断絶と再開をシェイクスピア劇はどのように生き延びたのか? 改作『じゃじゃ馬馴らし』『リア王』『リチャード三世』『ヴェニスの商人』の本邦初訳と解説からなる演劇ファン必読の書」とあるように、本邦初訳となる王政復古期のシェイクスピア改作劇とその詳細な解説を収めました。
主な著書・論文など
- 区分
- 翻訳・解説
- 著書・論文名等
- 鹿児島近代初期英国演劇研究会 大和高行・小林潤司・山下孝子・丹羽佐紀・杉浦裕子 訳『近代初期イギリス演劇選集』
- 掲載誌・発行所等
- 九州大学出版会
- 発行年月
- 2023年5月
- 区分
- 翻訳・解説
- 著書・論文名等
- 鹿児島近代初期英国演劇研究会訳『王政復古期シェイクスピア改作戯曲選集』
- 掲載誌・発行所等
- 九州大学出版会
- 発行年月
- 2018年4月
- 区分
- 解説
- 著書・論文名等
- 吉田徹夫ほか共編著『映画で楽しむイギリスの歴史』
- 掲載誌・発行所等
- 金星堂
- 発行年月
- 2010年5月
- 区分
- 研究ノート
- 著書・論文名等
- 「グリフィス版『ゴーボダック』(1565)は粗悪な海賊版か?」田島松二・末松信子共編『英語史研究ノート』(205-209頁)
- 掲載誌・発行所等
- 開文社
- 発行年月
- 2008年12月
- 区分
- 論文
- 著書・論文名等
- 「『ヘンリー6世・第1部』とジョアンの変容」田島松二編『ことばの楽しみ:東西の文化を越えて』(262-273頁)
- 掲載誌・発行所等
- 南雲堂
- 発行年月
- 2006年5月
- 区分
- 論文
- 著書・論文名等
- 「『アーサー王の悲運』に見られる道徳観,―大衆演劇への橋渡し」園井英秀編『英文学と道徳』(3-23頁)
- 掲載誌・発行所等
- 九州大学出版会
- 発行年月
- 2005年3月
- 区分
- 解説
- 著書・論文名等
- 八尋春海編著『映画で楽しむアメリカの歴史』
- 掲載誌・発行所等
- 金星堂
- 発行年月
- 2010年3月
- 区分
- 書誌
- 著書・論文名等
- 田島松二責任編集『わが国における英語学研究文献書誌1900-1996』
- 掲載誌・発行所等
- 南雲堂
- 発行年月
- 1998年11月
- 注記
- 「序説 わが国の英語学研究100年」から始まり、「Ⅰ.書誌」「Ⅱ.英語史」「Ⅲ.英語学史」「Ⅳ.英語学総説・一般」「Ⅴ.個別作家・作品の言語」「Ⅵ.文字・綴り字・句読法」「Ⅶ.音声学・音韻論」「Ⅷ.形態論」「Ⅸ.統語論」「X.語彙・語形成論」「XI.人名・地名研究」「XII.辞書学・辞書編纂論」「XIII.特殊辞典・コンコーダンス・グロッサリー」「XIV.意味論・語用論」「XV.文体論・韻律論・修辞学」「XVI.語法研究」「XVII.方言学(イギリス英語)」「XVIII.アメリカ・カナダ英語」「XIX.日英語比較」「XX.その他」「索引(著者・編者・訳者検索)」からなる内容で、本体1194頁になんなんとする、1900年から1996にかけて、書籍や学会誌、同人誌や商業誌等において現物が確認され、かつ、掲載するに値する文献を膨大な時間を費やし、慎重な分類作業を経て編まれた、英語学研究をするにあたって基本的な情報を収めた大著である。なお、本書誌は、雄松堂書店主催、日本図書館協会共催、図書新聞協力による権威ある第2回ゲスナー賞銀賞(1999年3月)(注:コンラート・ゲスナーは、世界で初めて16世紀までの著述家のアルファベット順索引と学問領域の体系的叙述を備えた書誌、『萬有文庫(Bibliotheca Vniversalis)』(1545年)を著したことによって“書誌学の父”と呼ばれている人物であり、この賞はこの高名な人物にちなんで名づけられた賞である)を受賞した、学術的に高い評価を得た書籍である。
- 区分
- 翻訳
- 著書・論文名等
- G. L. ブルック著/三輪伸春ほか訳『シェイクスピアの英語』
- 掲載誌・発行所等
- 松柏社
- 発行年月
- 1998年5月
所属学会
・日本英文学会
・日本シェイクスピア協会
・英語史研究会
・九州シェイクスピア研究会
・鹿児島近代初期英国演劇研究会(代表)
・鹿児島サンタローザ友好協会
※学会以外も含む