駐日ウクライナ特命全権大使による講演会と交流会を開催
法文学部では令和6年1月24日(水)14時から15時半まで、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使をお招きして、講演会「ウクライナの現状と平和な国際社会の構築に向けて」を開催しました。
(講演会の模様)
講演の中で大使は9世紀に遡るウクライナの独立の歴史を紹介した後、ロシア軍によって破壊された街や犠牲となった市民の状況などを映像とともに説明しました。そして平和で安定した国際社会の構築のためには、独裁国家に対抗する民主的な国々の結束が求められると強調しました。
質疑応答ではウクライナの考える和平の条件を質問した学生に対して、ロシア軍のウクライナ領土からの完全撤退、戦争による被害の賠償、戦争犯罪人の処罰が求められると述べました。
引き続き開催された交流会でも、なごやかな雰囲気の中、活発な質疑が行われました。日本の貢献のありかたについて問われた大使は、軍事的な協力ではなく地雷の撤去や東日本大震災や阪神淡路大震災からの復興など日本のノウハウがウクライナの支援につながると答えました。
(交流会の模様)
講演会には学生、教職員、在鹿ウクライナ市民など108名が、また交流会にはおよそ30名が参加しました。参加者の感想から一部を紹介します。
世界情勢やウクライナの現状、ウクライナの歴史から現在のウクライナ戦争が起こったきっかけ等、自分の視点からは得られなかった新たな知見を得ることができました。一刻も早く、世界全体が平和が安定に続くようになることも私も願いながら、自分でどう動くべきか考えていきたいと思います。
ウクライナの奪還した地域の復興についてのお話が印象に残りました。地雷で汚染された畑を農家自ら機械を開発し、きれいにして、農業が再びできるように尽力されていることに感動しました。
日本での戦争関連の報道が減ってから、自分でウクライナの現状について調べたり、関心を持ったりすることが減っていました。しかし、今回のご講演を聞き、世界中がこの戦争の影響を受けて動き出していること、報道では流されない悲惨な現実があることを知りました。戦争を止めるための戦争が始まりそうになっている今、経済的制裁だけで解決できるのか、また私たちは何をすべきなのかということを改めて考えなければいけないなと思いました。
私自身、今年外交官試験を受ける予定で勉強しているのですが、世界情勢について少しでも知識を深められれば、また、日本の外交にとっても求められることはなんだろうという思いで参加いたしました。ウクライナとロシアの問題はどこかで遠くの国の話で、なかなか身近なものとして考えにくかったのですが、大使のお話をお聞きし、初めて日本も他人事として見ていられないと危機感を覚えました。〔中略〕今回、大使のお話をお聞きし、自分がなぜ外交官になりたいのか、そして外交官になった際に外交官としてどのようなことに取り組まなければならないのか、軸がはっきりしてきたように思います。今回参加して、世界の今が分かり、ひとりの人間として何ができるかと考えを巡らせる機会になりました。
今回の講演会の実施に当たってはコルスンスキー特命全権大使をはじめ、ウクライナ大使館のユリア・ザモルスカ二等書記官、インナ・イリナ三等書記官にお力添えをいただきました。厚く御礼を申し上げます。