日本社会教育学会九州・沖縄地区社会教育研究集会を開催

九州・沖縄地区社会教育研究集会が6月25日(土)鹿児島大学法文学部にて対面とオンラインの両形式で実施されました。参加者は、対面31名、オンライン20名の計51名でした。最初に、溝上秀人氏(いちき串木野市教育委員会・前屋久島町教育委員会)、下屋敷由貴子氏(かごしま県民大学中央センター)、農中至会員(鹿児島大学)より報告がなされ、上野景三会員(西九州大学)と岡幸江会員(九州大学)がコメントしました。予定された研究会の公式時間は2時間でしたが、対面の会場では1時間延長して活発な意見交換がなされました。司会は、金子満会員(鹿児島大学)と酒井佑輔会員(鹿児島大学)が務めました。

今年のテーマは、生涯学習振興整備法から30年が経過した大学と行政の関係を振り返ることでした。実際に取り上げたのは直近の10年間で、改組により鹿児島大学法文学部に社会教育主事養成課程が移管し、社会教育担当教員4名体制が整った前後の動きが中心でした。当日の報告は、社会教育主事講習(熊本大学)や大学との共同研究により新たな関係構築過程を扱った内容でした。
当日議論されたのは、社会教育主事ポストのあり方と評価(例:学校籍派遣社会教育主事と市町村プロパー職員)、行政機構のスリム化と人口減少による人員減少の補填策、人事異動に伴う大学と行政間の共通認識・課題意識の継続の困難さ、県全域を網羅する広域社会教育の鳥瞰図不在の問題、建築やデザイン系分野による社会教育参入の評価、九州インターカレッジによる連携の可能性などです。短時間に多岐にわたる論点が示されたのは、九州大学の学生・社会人学生、鹿児島大学の学部生、社会教育行政の現役職員とそのOB、町内会関係者など多様な属性をもつ方が、積極的に議論に参加いただいた成果です。

(小栗有子「社会教育・生涯学習振興と協働関係の再構築~南九州からの発信」日本社会教育学会『学会からのお知らせ(2022.7.31発行)』第2号、8p.より一部改変して転載)